小児思春期のうつ病・不安スクリーニングを推奨、米USPSTF



提供元:AJ Advisers LLCヘルスデージャパン

米国予防医学専門委員会(USPSTF)は、12~18歳に対する大うつ病性障害(MDD)のスクリーニングおよび8~18歳に対する不安のスクリーニングを推奨するという最終声明を、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」2022年10月11日号に発表した1, 3

米ノースカロライナ大学のMeera Viswanathanらは、小児思春期におけるうつ病、自殺リスクのスクリーニングおよび治療について、それぞれの有益性と有害性を評価するため、システマティックレビューを実施2。うつ病に関する研究21件(対象者計5,433人)、自殺リスクに関する研究19件(対象者計6,290人)を特定した。

その結果、うつ病についてはスクリーニングの直接的な効果について報告した研究はなかったが、その精度は研究7件で報告され、感度は0.59-0.94、特異度は0.38-0.96だった。うつ病の治療効果はランダム化比較試験(RCT)13件で報告され、平均年齢は5-17.5歳の範囲だった。心理療法によるうつ病の治療は、Beck Depression Inventoryに基づく症状改善に関連したほか*a、Hamilton Depression Scaleに基づく症状改善 *b、診断の消失*cなどに関連した。薬物療法によるうつ病の治療は、Children's Depression Rating Scale-Revisedに基づく症状改善*d、寛解*e、Children’s Global Assessment Scaleに基づく機能改善*fに関連した。

自殺リスクのスクリーニングについての直接的な効果を報告した研究はなかったが、RCT 2件でスクリーニングによる害はないと報告された。スクリーニングの精度は研究1件で報告され、感度は0.87-0.91、特異度は0.60だった。自殺リスクに対する介入効果はRCT 16件で報告され、平均年齢は14-18歳の範囲だった。自殺リスクに対する介入は、Beck Hopelessness Scaleに基づく自殺念慮の改善に関連した*g。しかし、自傷行為などの他の自殺関連アウトカムには一貫した結果や統計的な有意差を認めなかった。

こうした結果に基づき、USPSTFは12~18歳に対するMDDのスクリーニングを推奨する(推奨グレードB)1。しかし、11歳以下に対するMDDのスクリーニングの有益性と有害性については、評価するエビデンスが現時点では不十分である(I声明)1。さらに、小児思春期における自殺リスクのスクリーニングの有益性と有害性についても、評価するエビデンスが現時点では不十分である(I声明)1

さらにViswanathanらは、小児思春期における不安のスクリーニングに関するエビデンスのシステマティックレビューを実施3。研究39件(対象者計6,065人)を特定した。その結果、不安のスクリーニングの直接的な効果について報告した研究はなかったが、その精度は研究10件で報告され、感度は0.34-1.00、特異度は0.47-0.99だった。不安の治療効果はRCT 29件(うち認知行動療法22件、薬物療法6件)で報告され、平均年齢は4.1-17.4歳の範囲だった。認知行動療法はAnxiety Disorders Interview Scheduleで評価した症状改善 *h、治療反応*i、診断の消失*jなどに関連した。薬物療法はPediatric Anxiety Rating Scaleに基づく症状改善 *k、Clinical Global Impression–Severity scaleに基づく症状改善*l、治療反応*mなどに関連した。しかし、寛解に関しては一貫した結果を認めなかった。

こうした結果に基づき、USPSTFは8-18歳に対する不安のスクリーニングを推奨する(推奨グレードB)4。一方、7歳以下に対する不安のスクリーニングの有益性と有害性については、評価するエビデンスが現時点では不十分である(I声明)4

USPSTFのメンバーの1人は報告1, 3において、「USPSTFは全ての若年者のメンタルヘルスに強く関心を寄せている。残念なことに、低年齢児に対する不安やうつ病のスクリーニングと、全ての若年者における自殺リスクのスクリーニングに関連するエビデンスは大幅に不足している」とコメントしている。(HealthDay News 2022年10月11日)

 

注釈
*a
ランダム化比較試験(RCT) 4件のプール化標準化平均差-0.58、95%信頼区間(CI)-0.83~-0.34、n=471

*b
RCT 3件のプール化平均差-2.25、95%CI-4.09~-0.41、n=262

*c
RCT 4件のプール化相対リスク(RR)1.73、95%CI 1.00~3.00、n=395

*d
RCT 3件のプール化平均差-3.76、95%CI-5.95~-1.57、n=793

*e
RCT 3件のプール化RR 1.20、95%CI 1.00~1.45、n=793

*f
RCT 3件のプール化平均差2.60、95%CI 0.78~4.42、n=793

*g
RCT 4件のプール化平均差-2.35、95%CI-4.06--0.65、n=644

*h
RCT 11件のプール化平均差−2.01、95%CI −2.74-−1.29、n=579

*i
RCT 6件のプール化RR 1.89、95%CI 1.17-3.05、n=606

*j
RCT 15件のプール化RR 3.09、95%CI 1.98-4.80、n=1414

*k
RCT 5件のプール化平均差-4.0、95%CI −5.5-−2.5、n=726

*l
RCT 4件のプール化RR−0.84、95%CI −1.13-−0.55、n=550

*m
RCT 5件のプール化RR 2.11、95%CI 1.58-2.98、n=370

 

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参考文献
  1. Meera Viswanathan, et al. JAMA 2022 Oct 18;328(15):1543-1556.
  2. US Preventive Services Task Force, et al. JAMA 2022 Oct 18;328(15):1534-1542.
  3. Meera Viswanathan, et al. JAMA 2022 Oct 11;328(14):1445-1455.
  4. US Preventive Services Task Force, et al. JAMA 2022 Oct 11;328(14):1438-1444.
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