重症COVID-19患者では1年後も後遺症、身体症状74%、精神症状26%
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患して集中治療室(ICU)に入室した患者を追跡した結果、1年後も患者の74.3%に身体症状が残存し、26.2%は精神症状、16.2%は認知機能障害に苦しんでいることが分かった。ラドバウド大学医療センター(オランダ)のHidde Heesakkersらによる研究で、詳細は「Journal of the American Medical Association」2022年2月8日号に掲載された1。
本研究は、COVID-19パンデミック第1波(2020年3月~7月)の間に同国の医療施設11カ所のICUに入室し、生存退院した16歳以上のCOVID-19患者452人を対象とした探索的前向き多施設コホート研究であった。適格患者のうち、ICU入室から1年後の質問票調査に回答した246人〔平均年齢61.2±9.3歳、男性71.5%、平均BMI 28.0±4.5、ICU在室期間中央値18.5日(四分位範囲11-32)〕を解析対象とした。
主要評価項目は、1年後の質問票調査で患者が自己回答した身体症状、精神症状、認知機能障害であった。身体症状は、フレイル〔臨床虚弱尺度(CFS)が5点以上〕、倦怠感〔Checklist Individual Strength(CIS)下位尺度の倦怠感が27点以上〕、身体的問題(疼痛や感覚障害などの症状30項目を4段階評価し、中等度・重度との回答が1項目以上)の有無について評価した。精神症状は、不安〔病院不安抑うつ尺度(HADS)下位尺度の不安が8点以上〕、抑うつ(HADS下位尺度の抑うつが8点以上)、外傷後ストレス障害〔出来事インパクト尺度(IES)-6が平均1.75点以上〕について評価した。認知機能障害は、認知的失敗質問票(CFQ)-14が43点以上の場合に症状ありと見なした。
その結果、何らかの身体症状があると回答した人は74.3%(182/245人)に達した。その内訳として、フレイルが6.1%(15/245人)、倦怠感が56.1%(138/246人)、身体的問題が67.1%(165/246人)の人に認められた。身体的問題30項目の中では衰弱状態の38.9%(95/244人)が最も頻度が高く、関節のこわばり26.3%(64/243人)がこれに次いだ。
何らかの精神症状があると回答した人は26.2%(64/244人)であった。その内訳は、不安が17.9%(44/246人)、抑うつが18.3%(45/246人)、外傷後ストレス障害が9.8%(24/244人)であった。認知機能障害は16.2%(39/241人)に認められた。なお、ICU入室前に就労していた人の57.8%は、「以前より就労時間を短縮している」「体調不良のため休職を継続している」といった就労に関する問題を抱えていた。
Heesakkersらは「今回の探索的研究の結果から、オランダではICUに入室して回復したCOVID-19患者において、1年経っても、身体症状や精神症状、認知機能障害が高頻度に残存していることが分かった」と述べている。(編集協力HealthDay)
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