自殺した青少年の中で精神疾患の診断を受けていたのは40%程度

提供元:AJ Advisers LLCヘルスデージャパン

米国の10〜24歳の自殺者約40,000人を対象にした研究で、自殺に先立ち精神疾患の診断を受けていた者の割合は40.4%であることが、「JAMA Network Open」に2024年7月30日掲載された論文で明らかにされた1

米エモリー大学医学部のSofia Chaudharyらは、米疾病対策センター(CDC)の全米暴力死報告システムのデータを用い、2010年1月1日から2021年12月31日の間に自殺した青少年(10〜24歳)について、社会人口統計学的な特徴と臨床的特徴、自殺を誘発した状況、および自殺手段を調査し、これらと事前の精神疾患の診断の有無との関係を検討した。「社会人口統計学的な特徴」には人種、民族、性別、「臨床的特徴」には、抑うつ気分、自殺傾向、物質使用などの各種メンタルヘルス問題、「自殺を誘発した状況」には対人関係の問題、刑事・民事の法的問題や経済的な問題などの生活の中でのストレス要因、死亡の2週間以内に発生した危機的問題、「自殺の手段」には、銃器、中毒、絞首・窒息、その他(自動車、転落、鋭利なものまたは鈍器による)を含めた。解析には多変量ロジスティック回帰モデルを用いた。

対象期間内の自殺者は40,618人で、20〜24歳が58.1%、男性が79.2%、白人が76.1%、銃器が46.8%で、それぞれの項目で最多を占めていた。精神疾患の診断を受けていたのは16,426人(40.4%)であった。

解析の結果、精神疾患の診断を受ける傾向が弱かったのは、白人を基準とした場合のアメリカ先住民またはアラスカ先住民(調整オッズ比〔aOR〕0.45、95%信頼区間〔CI〕0.39-0.51)、アジア系、ハワイ先住民またはその他の太平洋諸島系(同0.58、0.52-0.64)、黒人(同0.62、0.58-0.66)であり、また非ヒスパニック系を基準とした場合のヒスパニック系(同0.76、0.72-0.82)、さらに20〜24歳を基準とした場合の10〜14歳も弱かった(同0.70、0.65-0.76;15〜19歳は有意差なし)。

逆に、精神疾患の診断を受ける傾向が強かったのは、男性を基準とした場合の女性(同1.64、1.56-1.73)であり、抑うつ気分(同1.75、1.67-1.83)、物質乱用(同1.86、1.76-1.97)、家族関係に問題あり(同1.37、1.29-1.47)、児童虐待の経験(同3.39、2.93-3.91)などに該当する者も、該当しない者を基準とした場合、診断を受ける傾向が強かった。銃器を基準とした場合、中毒(同2.78、2.55-3.03)、絞首・窒息(同1.70、1.62-1.78)、その他の手段(同1.59、1.47-1.72)でも傾向が強かった。

著者らは、「自殺した青少年の5人に3人は精神疾患の診断を受けていなかった。精神疾患の診断を受ける傾向が低かったのは、人種・民族的マイノリティに属する者、また銃器を使った者であった。メンタルヘルスを抱えているが十分な対応を受けていない者を見つけ出し、誰もが平等にメンタルヘルス支援へアクセスできるようにするなど、地域ぐるみでの方策が求められる」と述べている。(HealthDay News 2024年7月31日)

 

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参考文献

  1. Chaudhary S, et al. JAMA Network Open. Publisher online July 30, 2024.