
米国のうつ病有病率、最近10年の間に上昇
提供元:AJ Advisers LLCヘルスデージャパン
米国立保健統計センター(NCHS)が4月に発表したデータによると、2021年8月から2023年8月までの間の12歳以上の青少年および成人におけるうつ病有病率は13.1%であり、2013~2014年に比べて60%増加した。詳細は、「NCHS Data Brief」527号(2025年4月)に掲載された1。
NCHSのDebra BrodyとJeffery Hughesは、2021年8月から2023年8月まで(以下、2021〜2023年)の米国国民健康栄養調査(NHANES)のデータを用いて、12歳以上の青少年および成人を対象に、過去2週間のうつ病有病率を推定した。また、10年間のNHANESサイクル(2013~2014年、2015~2016年、2017年~2020年3月、2021〜2023年)のデータを用いて、当該期間のうつ病有病率の傾向を評価した。うつ病は、PHQ-9(Patient Health Questionnaire-9)による評価(0〜27点)で10点以上の場合と定義した。対象者全体およびサブグループ間の差の検定にはt検定を用い、また10年間の傾向については、対象期間が均一でないことを考慮して回帰分析で評価した。
青少年および成人のうつ病有病率は、2013〜2014年に8.2%(標準誤差〔SE〕0.5)だったのが、2021〜2023年には13.1%(標準誤差〔SE〕0.7)に上昇していた。この傾向は男女ともに見られた。2021年〜2023年では年齢が高いほど有病率が低下する傾向が存在し、これは統計的に有意であった。男女を合わせて見た場合、有病率が最も高いのは12〜19歳での19.2%(SE 1.3)、最も低いのは60歳以上での8.7%(SE 0.8)であった。女性のみでも同様で、12〜19歳で26.5%、20〜39歳で19.0%、40~59歳で13.8%、60歳以上で10.6%であった。男性のみでも40~59歳で7.9%、60歳以上では6.5%と、年齢に伴い有病率が低下する傾向は見られたものの、12〜19歳の12.2%と20〜39歳の14.3%との差は統計的に有意ではなかった。女性の有病率は男性より全体として有意に高く(16.0%対10.1%)、20〜39歳を除く全ての年齢層でも有意に高かった(12〜19歳:26.5%対12.2%、20〜39歳:19.0%対14.3%、40〜59歳:13.8%対7.9%、60歳以上:10.6%対6.5%)。
うつ病有病率は世帯収入の増加に伴い低下し、世帯収入が連邦政府の定める貧困基準(federal poverty level;FPL)*aの100%未満の人では22.1%であったのに対し、FPLの400%超の人では7.4%であった。この傾向は男女別に見ても同様で、貧困家庭での有病率は、男女とも裕福な家庭のおよそ3倍であった(貧困家庭:女性26.0%、男性17.4%、裕福な家庭:女性8.8%、男性6.1%)。さらに、うつ病の人の87.9%が、うつ病の症状が原因で、仕事や家事、社会活動を行うことに困難を感じていると回答し、39.3%が過去12カ月間にメンタルヘルスの専門家からカウンセリングや治療を受けたと回答した。カウンセリングや治療を受けた人の割合は、女性の方が男性より多かった(43.0%対33.2%)。(HealthDay News 2025年4月22日)
注釈
*a
FPL(Federal Poverty Level;連邦貧困水準)は、米政府により毎年更新される貧困所得水準の指標で、家族構成と所得に基づいて算出される(世帯収入が高いほどパーセンテージが上昇)。
Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.
Photo Credit: Adobe Stock
※本コーナーの情報は、AJ Advisers LLCヘルスデージャパン提供の情報を元に掲載しており、著作権法により保護されております。個人的な利用以外の目的に使用すること等は禁止されていますのでご注意ください。