世界的に自殺リスクは最も高いのは月曜日

提供元:AJ Advisers LLCヘルスデージャパン

ほとんどの国で、自殺リスクは月曜日に最も高く、祝日の中では元日に高いことが、「The BMJ」に2024年10月23日掲載された研究で明らかになった1

釜山国立大学(韓国)のWhanhee Leeらは、Multi-Country Multi-City (MCC)Collaborative Research Networkから、1971年から2019年までの期間に26の国と地域の740地点(県、都市、地区など)から収集された自殺データ(自殺件数1,701,286件)を用いて、平日の曜日および祝日による自殺リスクの短期的時間変動を検討した。まず、疑似ポアソン回帰モデルを用いて、曜日および祝日(元日、クリスマス、その他の国民の祝日の3つに分類)と自殺の関連を評価した。変数には、平日の曜日と祝日の指標変数、および祝日の影響が時間差を有する可能性があることから祝日の前後2日間(計5日間)の効果を評価するラグ変数を含めた。季節性や長期的な傾向を自然3次スプラインで調整し、加えて気温の影響も考慮した。次の段階では、ランダム切片付きのメタ回帰モデルを用いて最初の解析で得られた結果を国ごとに統合し、当該国の推定値とした。

 その結果、全体的には、平日の自殺リスクが最も高くなるのは月曜日であり、全自殺数の15~18%を占めていた。水曜日を1とした場合の月曜日の相対リスク(RR)は、コスタリカの1.02(95%信頼区間0.95-1.10)からチリの1.17(同1.09-1.25)までの幅があった。北米、アジア、ヨーロッパの多くの国では、週末に自殺リスクが最も低下していたが、中南米諸国、フィンランド、南アフリカでは週末に自殺リスクが上昇していた。祝日については、クリスマス当日とその後2日間に全体および男性で自殺リスクのわずかな上昇が認められ、RRにはスイスの0.54(同0.39-0.76)から南アフリカの1.89(同1.01-3.56)までの幅があった。地域によるリスクの違いも見られ、中南米諸国と南アフリカではクリスマス当日に自殺リスクが上昇していたが、北米およびヨーロッパ諸国では低かった。祝日で自殺リスクが最も高かったのは元日であり、RRは日本の0.93(同0.75-1.14)からチリの1.93(同1.31-2.85)までの幅があった。特に、アジア諸国では元日の後1~2日間に自殺リスクがピークに達する傾向が見られた。その他の国民の祝日については、自殺リスクの低下が認められ、RRは英国の0.80(同0.71-0.89)からチリの1.14(同0.97-1.35)までの幅があった。しかし、祝日後1~2日間ではリスクが上昇する傾向が認められ、この傾向は男性において、またヨーロッパおよびアジア諸国において目立った。

 著者らは、「この研究の結果は、自殺リスクの短期的な変動についての理解を深め、自殺防止行動計画や啓発キャンペーンを立案する際に役立つと思われる」と述べている。(HealthDay News 2024年10月28日) 

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参考文献

  1. Lee W, et al. The BMJ 2024 October 28:387:q2373.