プライマリケア診療の9件に1件はメンタルヘルス関連の受診
提供元:AJ Advisers LLCヘルスデージャパン
ノルウェーのプライマリケア診療に関する全国的な行政データを用いた研究において、プライマリケア受診の9件に1件はメンタルヘルスに関連するものであることが明らかになった。この研究の詳細は、「Nature Mental Health」に2024年9月19日掲載された1。
ノルウェーでは全住民にプライマリケア医が割り当てられている。米デューク大学のAvshalom Caspiらは、同国のプライマリケア診療に関する2006~2019年の14年間にわたる行政データ(0〜100歳の患者487万5,722人、計3億5451万6,291件のプライマリケア診療)を使用し、受診理由にメンタルヘルスが占める割合を算出し、身体的疾患の割合と比較した。
分析の結果、3億5,451万6,291件の診療の11.7%(4161万6,704件)、すなわち9件に1件をメンタルヘルス関連が占めていた。メンタルヘルスの内訳は、多い順に、抑うつ(23.8%)、不安(14.1%)、睡眠障害(12.1%)、物質使用障害(8.3%)、急性ストレス反応(7.1%)、精神病状態(6.9%)、認知症/記憶障害(5.4%)、注意欠如・多動症(3.8%)、恐怖症/強迫性障害(1.7%)、発達遅延/学習障害(1.5%)、心的外傷後ストレス障害(1.3%)、パーソナリティ障害(1.1%)となった。1%未満のものとしては、小児や思春期の若者の行動に関する問題、性的問題、神経衰弱/慢性疲労、摂食障害などが認められた。
プライマリケア受診においてメンタルヘルス関連とその他の疾患の診療率を比較したところ、筋骨格系が17.4%と高い値を示したが、循環器系(12.1%)、呼吸器系(11.0%)、一般的な/詳細不明な病態(10.3%)はほぼ同様の受診率であった。また、皮膚(6.6%)、内分泌/代謝系(6.6%)、消化器系(6.0%)、神経系(3.8%)、泌尿器系(3.4%)、男性/女性の生殖器系(3.1%)、妊娠/出産/家族計画(2.9%)、眼(2.0%)、耳(1.8%)、血液/血液形成器官/免疫機能(1.3%)に関する受診の割合は低かった。
著者らは、「本研究により、プライマリケア診療の中でメンタルヘルスケア関連の受診がどの程度を占めるかが判明し、また多種類に及ぶメンタルヘルスの問題に対して、プライマリケア診療の少なからぬ部分が割かれていることも明らかになった。これらのことから、プライマリケア診療にメンタルヘルスサービスを組み込む必要があると考えられ、またそうすることで精神科専門への橋渡しが容易となるだろう。さらに、臨床医にメンタルヘルスの研修をさせることや臨床心理士の教育の機会を増やすことで、プライマリケアの場における対応力が増すだろう。メンタルヘルス問題の悪化を防ぐ上でプライマリケア医が果たす役割は、これまで考えられていた以上に大きい」と述べている。(HealthDay News 2024年10月4日)
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