米国では正看護師など一部の医療従事者で自殺リスクが高い
提供元:AJ Advisers LLCヘルスデージャパン
米国の正看護師や医療技術職、医療補助職では、非医療従事者に比べて自殺リスクの高いことが、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」2023年9月26日号に掲載された論文で明らかにされた1。
米コロンビア大学およびニューヨーク州立精神医学研究所のMark Olfsonらは、26歳以上の医療従事者1,842,000人〔年齢中央値44(四分位範囲35〜53)歳〕が参加した2008年の全米コミュニティ調査(American Community Survey;ACS)のデータを2019年12月31日までの死亡記録にリンクさせ、年齢と性別で標準化(対象集団全体を標準人口とする直接法)した医療従事者の自殺率を算出した。医療従事者は1)医師、2)正看護師、3)その他の診断や治療に関わる職種、4)医療技術職、5)医療補助職、6)社会福祉・行動に関わる職種(ソーシャルワーカー、カウンセラー、臨床心理士など)の6群に分類し、非医療従事者と比較した。加えて、Cox比例ハザードモデルにより、年齢、性別、人種・民族、婚姻状態、教育歴、居住環境(市部か郡部か)で調整し、非医療従事者と比較した場合の医療従事者の自殺のハザード比(HR)を推定した。
年間の標準化自殺率(10万人対)は、医療補助職で21.4〔95%信頼区間(CI)15.4〜27.4〕人、正看護師で16.0(同9.4〜22.6)人、医療技術職で15.6(同10.9〜20.4)人、医師で13.1(同7.9〜18.2)人、社会福祉・行動に関わる職種で10.1(同6.0〜14.3)人、その他の診断や治療に関わる職種で7.6(同3.7〜11.5)人、非医療従事者で12.6(同12.1〜13.1)人であった。非医療従事者を1とした場合の自殺の調整HR(aHR)は、医療従事者全体としては有意に上昇していたものの(aHR 1.32、95%CI 1.13〜1.54)、職種別に見た場合に有意な上昇が認められたのは、医療補助職(同1.81、1.35〜2.42)、正看護師(同1.64、1.21〜2.23)、医療技術職(同1.39、1.02〜1.89)のみであり、医師(同1.11、0.71〜1.72)、社会福祉・行動に関わる職種(同1.14、0.75〜1.72)、およびその他の診断や治療に関わる職種(同0.61、0.36〜1.03)では有意な上昇は認められなかった。
著者らは、「パンデミックが収束するにつれて、医療従事者のメンタルヘルス改善に向けた取り組みはその勢いを失う可能性がある。今回の研究は、パンデミック前の期間をもその対象期間に含めていることから、医療従事者がメンタルヘルスのリスクを抱えていることを強く示すものだ」と述べている。(HealthDay News 2023年9月26日)
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