服薬アドヒアランスに取り組む
うつ病の管理におけるアドヒアランス(服薬遵守)の問題に取り組む
患者の肯定的なアウトカムのためには抗うつ薬による治療が不可欠であるにもかかわらず、患者の多くが指示された服薬治療計画を遵守せずにいます。1
薬剤を受け取り適切に服用しているうつ病患者は3分の1未満1
処方される薬剤にもよりますが、実際には抗うつ薬を処方された外来患者の半数近くが1ヵ月以内に1,2、70%近くが3ヵ月以内に治療を中止しています。1
その原因は何か?
こうしたアドヒアランス不良の理由は患者によって様々です。しかし、以下のような数多く要因が治療へのコンプライアンス不良に寄与していると考えられます。1
- 治療に関連する有害事象
- たとえ体調が改善していても、服薬治療を遵守することの重要性を認識していない
- 記憶や集中の困難などの認知症状
- 絶望感
- 身体症状の緩和の方をより重視している
- うつ病を取り巻くスティグマ(特に「弱さ」について)
- 治療を受ける価値がないと感じる
- 安心できない
- 治療が継続できていない
- 治療レジメンが複雑である
- 治療費
- 治療効果に満足できない
- 慢性疾患
- 医療従事者との友好的な関係が欠如していると感じる
支援するための方法とは?
一部の医療従事者は、患者の治療に対して共同的なアプローチを取ることで患者の潜在的なアドヒアランスの難しさに取り組むことを推奨しています。共同作業によって医師と患者の肯定的な関係が強化され、治療のアウトカムにおける患者自身の優先度への理解が深まる可能性があります。その結果、患者自身にとって有益かつ重要な変化を追求しつつ服薬治療を遵守したいという気持ちを患者に生じさせることができます。3
また、抗うつ薬による治療のコンプライアンスの重要性に関する教育を行うことで患者の服薬治療への遵守度が改善する可能性があります。ある無作為化比較対照前向き試験では、電子メールを用いた教育プログラムを月1回実施することで患者のコンプライアンスに好影響を及ぼすことが明らかとなりました。4
抗うつ薬の治療と服薬アドヒアランスについてのシンプルかつ具体的な教育的メッセージを診察に取り入れるだけでも、少なくともプライマリケアの現場においては治療へのコンプライアンスが強化されることが認められています。5 とりわけ、うつ病患者では症状の改善又は消失後でも治療を継続することの重要性を強調することが不可欠です。