名称
うつ病診療ガイドライン2025
対象疾患
うつ病
最新版
2025年版
ガイドラインURL/書誌事項
https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/iinkai/katsudou/data/guideline2025.p…(2026年5月20日閲覧)
作成主体
日本うつ病学会 うつ病診療ガイドライン作成ワーキンググループ
日本うつ病学会は、2011年に『日本うつ病学会治療ガイドライン I. 双極性障害』、翌年の2012年には『日本うつ病学会治療ガイドライン II. 大うつ病性障害』を、他の精神科領域に先駆けて作成した。2016年には、全国の 300 以上の精神科医療施設が参加する「精神科医療の普及と教育に対するガイドラインの効果に関する研究:Effectiveness of GUIdeline for Dissemination and Education in psychiatric treatment」(略称 EGUIDEプロジェクト)を開始し、精神科医に対するガイドラインの理解と有効活用を促すための活動を行っている。
作成主体URL
https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/(2026年5月20日閲覧)
国
日本
概要(作成背景、プロセス、予定等)
日本うつ病学会が提唱するうつ病に対するガイドラインは2012年に作成され、2013年、2016年に改訂された。これらの改訂では、初版の構成を維持したまま、加筆・修正が行われる方式が採用された。2025年の改訂にあたっては、日本精神神経学会の協力を得て、また精神科専門医の意見のみならず、患者、家族、支援者、法曹関係者、多職種にわたる医療従事者など、幅広いステークホルダーが参加し、作業が行われた。2025年版では従来の方法から脱却した改訂が行われ、Minds診療ガイドライン作成マニュアル2020に則り、システマティックレビューに基づいて治療の推奨事項を提供している。実臨床に即した課題設定および臨床的必要性を重視する構成が追求されており、また図表を用いて視覚的にわかりやすくなるような工夫もされている。さらに、Measurement-Based Care(測定に基づく診療)といった新たな概念が導入されるとともに、周産期や老年期のうつ病、後続治療を要する難治性うつ病など、症状のタイプ別のマネジメントについても章立てて解説されている。本ガイドラインは、患者と医療者間での相互理解のうえで治療方針を考える、共同意志決定(shared decision making;SDM)の推進にも役立つであろうと期待される。
本ガイドラインでは、以下の項目に該当するクリニカルクエスチョン(CQ)が設定され、それぞれのCQに対する解説が記載されている。また、今後さらなる臨床活用が期待される7つの分野については、トピックスとして解説が記載されている。
CQ
1.治療計画の策定
2.軽度うつ病
3.中等度/重度うつ病
4.児童・思春期
5.周産期
6.老年期
7.特定用語
8.不眠症状を伴ううつ病
9.後続治療
10.さらなる段階の治療
11.維持期治療
トピックス
1.診断基準を満たさない閾値下の抑うつエピソード
2.うつ病に対する精神療法
3.うつ病治療における漢方薬
4.時間生物学的治療
5.労働者のうつ病
6.抗うつ薬の薬物相互作用
7.後期待される治療
薬物療法については、以下のような記載がある。
軽度うつ病に対しては、新規抗うつ薬注1)は選択肢のひとつになり得るが、開始するか否かは患者の希望や症状によって生じている影響、過去の治療に対する反応性や、副作用などを考慮することとされている(CQ2-3)。中等度/重症うつ病に対しては、新規抗うつ薬による単剤治療が強く推奨されており(CQ3-3)、初期からの併用療法は提案しないとされている(CQ3-6)。また、児童・思春期では新規抗うつ薬が選択肢のひとつになり得るとしつつも、いずれも適応を取得していないことに留意する必要があるとしている(CQ4-4)。妊娠中での抗うつ薬の使用は弱く推奨され(CQ5-3)、産後うつ病には必要に応じて抗うつ薬の使用を提案することとしている(CQ5-5)。老年期では、中等度/重症うつ病に対しては有害事象に注意しつつ抗うつ薬を用いることが強く推奨されている(CQ6-4)。また、抗うつ薬による初期治療で十分な効果が得られなかった場合には、抗うつ薬の増量(CQ9-3)、別の抗うつ薬へ切り替え(CQ9-4)、他の抗うつ薬の追加(CQ9-5)、抗精神病薬の追加(CQ9-6)などが挙げられている。さらに、不安性の苦痛を伴ううつ病や非定型の特徴を有するうつ病に対しては新規抗うつ薬の使用が提案されており(CQ7-1-2、CQ7-4-2)、不眠症状を伴ううつ病に対しては抗うつ薬と睡眠薬の併用が弱く推奨されており(CQ8-3)、難治性(2剤以上の抗うつ薬治療に効果が不十分)に対しては第2世代抗精神病薬による補助療法が弱く推奨されている(CQ10-3)。
注1)新規抗うつ薬とは、薬学的に以下のカテゴリーに分類されるものを示す。
・選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
・セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)
・ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬
・セロトニン取り込み阻害・受容体調整薬
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