名称
The 2020 Royal Australian and New Zealand College of Psychiatrists clinical practice guidelines for mood disorders
対象疾患
Mood disorders
最新版
2020年版
ガイドラインURL/書誌事項
Malhi GS, et al. Aust N Z J Psychiatry. 2021 Jan;55(1):7-117.
https://www.ranzcp.org/getmedia/a4678cf4-91f5-4746-99d4-03dc7379ae51/Mo…
(accessed, 2025年8月25日)
作成主体
The Royal Australian and New Zealand College of Psychiatrists(RANZCP)
RANZCPは、オーストラリアとニュージーランドの精神科医が精神疾患の治療における専門医資格を得るための研修や教育を提供している機関である。オーストラリアのメルボルンとニュージーランドのウェリントンに本部を設置し、オーストラリアのすべての州と準州に支部を配置している。メンタルヘルスケアの提供において卓越性と公平性を実現することを目的とし、学会員の支援、精神医学の発展に貢献しつつ、地域社会が最良のメンタルヘルスを維持できるよう活動を行っている。
RANZCPは精神科領域における各種診療ガイドラインを提唱しており、以下のURLより検索できる。
https://www.ranzcp.org/clinical-guidelines-publications/clinical-guidel… (2025年10月24日閲覧)
作成主体URL
https://www.ranzcp.org/ (2025年10月24日閲覧)
国
オーストラリア・ニュージーランド
概要(作成背景、プロセス、予定等)
RANZCPは、うつ病および双極症に対する診療ガイドラインを提唱しており、初版として2015年に作成されたものが、2020年に改訂された。RANZCPは、ガイドラインを定期的に見直すようにしており、新たなエビデンスが明らかになった場合には、改訂するとしている。なお、本ガイドラインは、特に診断と治療戦略に焦点をあてたものとなっている。
最近のエビデンス、システマティックレビュー、メタアナリシスを優先してPubMed、Embase、MEDLINE、PsycINFO、Google Scholarなどのデータベースより情報を収集し、エビデンスに基づいた推奨、およびエビデンス不足などの理由でエビデンスに基づいた推奨が困難な場合にはコンセンサスに基づく推奨事項を策定した。策定に携わった委員会は、成人、小児、青年の気分障害の管理に関する専門知識を持つ精神医学および心理学の分野の専門家から構成されている。
2020年改訂版は、以前のガイドライン(2015年版)を基盤としつつ、うつ病と双極症の両方に焦点をあて、エビデンスに基づく枠組みの中で、専門家の臨床コンセンサスを補足し、最新の推奨事項とガイダンスを提供している。2020年版の特徴としては、うつ病と双極症をスペクトラムとしてとらえる概念が提唱されていることから、これら気分障害の診断と管理について段階を追って提示している。また、不安や物質乱用などの併存疾患を有する患者の管理や、複雑な症状を呈する患者や特殊な集団における管理についても議論している。さらに、重要なポイントの説明が図式化(イラスト化)され、概念を理解しやすい工夫がされている。なお、本ガイドラインにおけるうつ病1と双極症2に関するサマリーが、それぞれ別途出版されている。
2020年改訂版のうつ病に関するサマリー1では、以下が網羅されている。
- 疫学
- うつ病の病因と病態
- 診断
- 分類
- うつ病の管理
- 介入
- 薬物療法の選択肢
- その他の選択肢
- 維持療法
- 治療反応性
薬物療法については、生活習慣の是正や心理学的な介入による効果が不十分である場合や薬物療法に感受性があると考えられる場合に薬物療法を選択するが、その場合には有効性と忍容性についてきちんと考慮しなければならないと注意喚起されている。抗うつ薬の有効性については、うつ病の重症度やサブタイプをはじめ、患者の臨床学的プロファイルにも依存するため、それらを考慮して治療薬を選択することや、患者に対して副作用のリスクを説明した上で注意深くモニタリングするこの重要性も記されている。
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