The Maudsley Prescribing Guidelines in Psychiatry

名称

The Maudsley Prescribing Guidelines in Psychiatry/The Maudsley Deprescribing Guidelines: Antidepressants, Benzodiazepines, Gabapentinoids and Z-drugs
 

対象疾患

Psychiatric disorder
 

最新版

2025年版
 

ガイドラインURL/書誌事項

David M. Taylor, Thomas R. E. Barnes, Allan H. Young. The Maudsley Prescribing Guidelines in Psychiatry. 15th Edition. John Wiley & Sons, Inc., Hoboken, NJ, USA.

Mark Horowitz, David M. Taylor. The Maudsley Deprescribing Guidelines: Antidepressants, Benzodiazepines, Gabapentinoids and Z-drugs. John Wiley & Sons, Inc., Hoboken, NJ, USA.

<日本語版>
David M. Taylor, Thomas R. E. Barnes, Allan H. Young. The Maudsley Prescribing Guidelines in Psychiatry. 14th Edition. モーズレイ処方ガイドライン第14版日本語版. Wiley Publishing Japan K.K. Tokyo, Japan.
 

作成主体

The Maudsley Prescribing Guidelines

The Maudsley Prescribing Guidelinesは、イギリスのロンドンにあるMaudsley Hospitalの薬剤師・病理学部長であるDavid Taylor教授によって構成・編集されている臨床ガイドラインである。1994年に第1版が発行されて以降、故Robert Kerwin教授の精神科における処方に関するエビデンスに基づいた出版物を世に出すという構想の下で継続的に発行されており、最新版となる第15版は2025年4月に出版された。第7版のイタリア語版を皮切りに、さまざまな版が翻訳されており、日本語版も第14版が最新版として現在入手可能である。また、2024年6月には、減薬に関するエビデンスに基づいた包括的なガイダンスをまとめたThe Maudsley Deprescribing Guidelines: Antidepressants, Benzodiazepines, Gabapentinoids and Z-drugsの第1版が発行された。 
 

作成主体URL

https://www.maudsley-prescribing-guidelines.co.uk/ (2025年9月19日閲覧)
 

イギリス
 

概要(作成背景、プロセス、予定等)

The Maudsley Prescribing Guidelinesは、1994年に第1版が発行されて以降、継続的に改訂版が発行されている。最新版となる第15版は、以下の項目から構成されている。 

  1. 統合失調症および関連精神疾患
  2. 双極性障害
  3. うつ病および不安障害
  4. 依存症および物質乱用
  5. 小児期および青年期患者への処方
  6. 高齢患者への処方
  7. 妊娠中および授乳中患者への処方
  8. 肝機能障害および腎機能障害を有する患者への処方
  9. その他の精神疾患に対する薬物治療
  10. 他の疾患に起因する精神症状に対する薬物治療
  11. 薬物動態
  12. その他の物質
  13. 特殊な状況における向精神薬の処方
  14. 向精神薬の処方
  15. その他

これらの項目は、うつ病に対する薬物療法における処方の基本原則として、National Institute for Health and Care Excellence(NICE)が提唱するガイドラインの概要とともに記述されている。非重度のうつ病に対しては抗うつ薬を第一選択治療として推奨しておらず、抗うつ薬はより重度のうつ病および気分変調症の治療に推奨するとしている。薬物療法を用いる場合には、あらゆる薬剤において忍容性には顕著な個人差があり、薬剤の副作用の可能性に関する知識だけでは容易に予測することはできないことに注意する必要があり、柔軟なアプローチを要すると述べている。また、診断後の治療選択、治療反応性別にみた次の治療選択などは、アルゴリズムとしてフローチャートにわかりやすくまとめられている。また、抗うつ薬の服用を中止する際にはさまざまな離脱症状が生じる可能性があり、そのリスクについては患者にきちんと説明する必要があるとし、抗うつ薬の服用を急に中止しないよう注意喚起すべきとしている。

減薬方法については、2024年6月に発行されたThe Maudsley Deprescribing Guidelines: Antidepressants, Benzodiazepines, Gabapentinoids and Z-drugsに、より詳細な減薬方法が記されている。The Maudsley Deprescribing Guidelinesは、精神科で用いられる薬物の減薬方法についてまとめたガイドラインとして、他のガイドラインとは一線を画すユニークなものである。以下の項目から構成されており、抗うつ薬の減薬方法については、薬剤ごとに薬剤の特徴、離脱症状、血漿ピーク時間、半減期、受容体占有率、減薬時の注意とともに、推奨される漸減スケジュールなどがまとめられている。

  1. 精神科薬剤の減薬導入
  2. 抗うつ薬の安全な減薬
  3. ベンゾジアゼピン系および非ベンゾジアゼピン系薬剤の安全な減薬
  4. ガバペンチノイドの安全な減薬

 

ポイント監修Drに訊く ここがポイント

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●    薬物動態が、薬物相互作用、喫煙やアルコールとの関連など、他のガイドラインよりも詳細にかつ臨床で実践で有用な形で記載されています

●    副作用に関する記載に多くの紙面を割いていることも特徴です

●    高齢者、妊婦、小児、肝腎機能障害を有する患者など、特別な配慮が必要な集団への薬物使用についても詳細に解説されており、最後には、車の運転への影響や手術の影響、過量服薬時の症状などや、最小致死量などが記載されています

 

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