CANMAT-Major Depressive Disorder(MDD)

名称

Canadian Network for Mood and Anxiety Treatments 2023 Update on Clinical Guidelines for Management of Major Depressive Disorder in Adults (CANMAT 2023)
 

対象疾患

Major Depressive Disorder in Adults
 

最新版

2023年版
 

ガイドラインURL/書誌事項

Lam RW, et al. Can J Psychiatry. 2024 Sep;69(9):641-687.
 

作成主体

Canadian Network for Mood and Anxiety Treatments(CANMAT)

CANMATは、気分障害や不安障害に対するケアの向上に取り組む、カナダ国内および国際的な学術や臨床の専門家から構成されるネットワークとして1995年に結成された。最新の科学的情報、治療ガイドライン、医療専門家向けの教育活動、患者や家族向けの症状や治療法に関する情報等を提供している。 
 

作成主体URL

https://www.canmat.org/
(2025年8月25日閲覧)
 

カナダ
 

概要(作成背景、プロセス、予定等)

Canadian Network for Mood and Anxiety Treatments (CANMAT)のMajor Depressive Disorder(MDD)に対するガイドラインは2001年に作成され、前回改訂されたのは2016年であった。2016年版では、急性期~維持期のMDD治療における以下の6トピックから構成されるクリニカルクエスチョンに基づいて、エビデンスレベルとともに推奨内容が記載されていた。 

 

【前回(2016年)改訂版におけるトピック】
1.疾病負担と治療の原則
2.心理療法
3.薬物療法
4.神経刺激療法
5.補完代替医療
6.若年/女性/高齢患者

 

2023年改訂版は、MDD患者のニーズや好み、治療歴を考慮し、個々の患者の状況にあわせた個別化治療に焦点をあてて、MDDの評価と管理について最新のエビデンスに基づいた推奨を提供するものである。ランダム化比較試験(RCT)のシステマティックレビューおよびメタ解析を中心にレビューを行い、本ガイドラインに用いるデータを抽出した。推奨のエビデンスレベルについては、過去のCANMATガイドラインで用いられたエビデンスレベルの基準を踏襲し、GRADEシステム*(Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation)に基づいて評価した。また、治療法の推奨は、エビデンスレベルと臨床学的な支持(編集グループによるコンセンサスを反映)に基づいて決定した。
本ガイドラインには、難治性MDDを含めた急性期~維持期のMDD治療における8トピックから構成されるクリニカルクエスチョンに基づいて、エビデンスレベルとともに推奨内容が記載されている。

 

【2023年改訂版におけるトピック】
1.アセスメントと診断
2.疾病管理の原則
3.治療選択
4.デジタル医療介入
5.治療モニタリング
6.症状改善後のモニタリングと対応
7.症状が改善しない場合の対処
8.神経刺激療法の使用

 

疾病管理の原則については、患者の安全と治療の受容性を確保しながら、症状の寛解、完全な機能の回復、QOLの向上、再発の防止を達成することを治療目標とすることとし、うつ病に対する治療選択については、各薬剤の推奨度、第一選択薬における有害事象の頻度、第一選択薬の特徴(有効性、受容性、薬物相互作用、中止による影響、忍容性)、DSM-5-TRのepisode specifiersやsymptom dimensionsに対応した治療選択などが一覧化されている。

本ガイドラインは2030年に見直しを行う予定である。
なお、CANMATが発行するガイドラインは、CANMATのウェブサイト(https://www.canmat.org/resources/)で確認することが可能である。

*;GRADEシステム:エビデンス総体(body of evidence)の確実性評価や推奨の強さの作成に役立つ国際的な標準アプローチ

 

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●    現時点で公開されているガイドラインの中で、唯一グレードシステムを使ってエビデンスレベルと推奨度を決定している、適切な評価に基づくガイドラインです

●    副作用や薬物相互作用などの見やすい図も掲載されているためわかりやすく、定期的にアップデートしている点なども含め、信頼できるガイドラインです

 

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