WFSBP-Treatment of unipolar depressive disorders

名称

World Federation of Societies of Biological Psychiatry (WFSBP) Guidelines for Biological Treatment of Unipolar Depressive Disorders
 

対象疾患

Unipolar depressive disorders
 

最新版

2015年版
 

ガイドラインURL/書誌事項

Bauer M, et al. World J Biol Psychiatry. 2015 Feb;16(2):76-95.
Bauer M, et al. World J Biol Psychiatry. 2013 Jul;14(5):334-85.
Bauer M, et al. World J Biol Psychiatry. 2007;8(2):67-104.
 

作成主体

World Federation of Societies of Biological Psychiatry(WFSBP)

WFSBPは、64の生物学的精神医学の関連学会と70カ国以上からの専門家により構成された非営利団体であり、生物学的精神医学の実践における重要なオピニオンリーダーの国際的ネットワークを構築している。生物学的精神医学の分野における科学的研究と進歩を促進するとともに、ガイドラインの提唱、国際的な協力関係の確立・構築・維持などを目的として活動している。

WFSBPが提唱する各種ガイドラインは、以下のURLより検索できる。
https://wfsbp.org/educational-activities/treatment-cuidelines-and-conse…
(2025年8月25日閲覧)
 

作成主体URL

https://wfsbp.org
(2025年8月25日閲覧)
 

アメリカ合衆国
 

概要(作成背景、プロセス、予定等)

WFSBPは、うつ病に対するガイドラインとして下記の3つを提唱している。
・part 1:急性期~継続治療期
・part 2:維持治療期
・プライマリケアにおけるガイドライン
WFSBPのガイドラインは2002年に作成され、part 1は2013年に、part 2は2015年に改訂された。また、プライマリケアにおけるガイドラインが2007年に発行された。
 

【急性期~継続治療期(part 1)】

利用可能なエビデンスに基づいて臨床的かつ科学的に意義のある推奨事項を作成するためにうつ病治療に関するエビデンスを体系的にレビューして作成された。ガイドラインの作成にあたっては、既報の文献レビューのほか、イギリスのNational Institute for Health and Care Excellence(NICE)、アメリカ合衆国のAmerican Psychiatric Association(APA)、カナダのCanadian Network for Mood and Anxiety Treatments(CANMAT)をはじめ、英文で出版されている各種ガイドラインも参照されている。本ガイドラインでは、主に成人に対する薬物療法を含めた生物学的な治療アプローチとともに、うつ病の分類、疫学、経過についても取り上げられている。うつ病に対する生物学的な治療アプローチとして、抗うつ薬を用いた治療を第一選択として推奨している。薬剤の選択に際しては薬剤のクラスごとの推奨が提示されており、治療歴や併存疾患とその治療内容、安全性、さらに家族歴や患者の希望等を考慮して薬剤を選択すべきとしている。なお、本ガイドラインには、抗うつ薬によく見られる副作用について、各抗うつ薬ごとにその頻度/強度が視覚的にわかりやすいよう、+++(高い/強)から-(とても低い/なし)までの4段階で表にまとめられている。ただし、ガイドライン発行後に上市された薬剤についての情報は含まれていないことに注意が必要である。
 

【維持治療期(part 2)】

維持治療期(part 2)のガイドラインも、急性期~継続治療期(part 1)と同様にエビデンスを体系的にレビューし、イギリスのNICEやカナダのCANMATをはじめとする英文で出版されている各種ガイドラインも参照され、作成されている。うつ病に対する維持療法として、急性期~継続治療期に寛解が得られた抗うつ薬、またはリチウム(急性期治療にリチウム増強が有効であった場合)のいずれかを第一選択として推奨している。再発予防としては、維持治療期においても急性期~継続治療期で用いた用量を継続することを推奨している。また、長期治療を行っていくために重要な点として、心理教育を行うこと、薬物療法を行うこと、治療アドヒアランスの維持・改善を挙げている。
 

【プライマリケアにおけるガイドライン】

うつ病患者に遭遇した一般開業医が使用することを意図して作成されたガイドラインである。プライマリケアにおいて重視すべき問題や、一般診療の範囲内で実施可能な治療法に限定して記載されている。

 

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●    最新版が2015年とやや古いですが、比較的適切なエビデンスに基づいたガイドラインです

●    2015年までに利用可能な抗うつ薬×副作用の一覧が掲載されています

●    Part1の最後に、Personalized treatment approachesとしてバイオマーカーに基づいた治療選択の概略が掲載されていますが、10年以上前のエビデンスであり、現状ではCYP450関連遺伝子以外に臨床的に活用できるものはありません

 

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