超加工食品の摂取は心血管疾患など多数の有害な健康アウトカムと関連
提供元:AJ Advisers LLCヘルスデージャパン
超加工食品の多量摂取は、死亡、心血管疾患、精神障害、肥満、2型糖尿病など多数の有害な健康アウトカムと関連しているとするアンブレラレビューの結果が、「The BMJ」に2月28日掲載された1。
ディーキン大学(オーストラリア)Institute for Mental and Physical Health and Clinical TranslationのMelissa Laneらは、既存のメタアナリシスの結果を包括的に評価するアンブレラレビューを実施し、Nova分類で超加工食品に分類される食品(スナック菓子、炭酸飲料、インスタント麺、調理済みの食品など)の摂取と健康アウトカムとの関連を検討した。論文データベースと参考文献リストを用いて、2009年から2023年6月までの間に発表された、コホート研究、症例対照研究、および/または横断研究デザインのシステマティックレビューとメタアナリシスを検索し、所定の基準を満たした14件のメタアナリシスを対象とした。これらのメタアナリシスには総計で45件の異なる統合解析(対象者の総計9,888,378人)が含まれており、超加工食品の摂取と死亡、がん、精神系、呼吸器系、消化器系、代謝系の健康アウトカムとの関連が検討されていた。45件の解析のうちの13件では量反応関係が検討されていたが、32件では量反応関係ではないものであった。
再解析により得られたエビデンスの信頼性のレベルを5段階に分類したところ、「クラスI(確実)」4件、「クラスⅡ(非常に示唆に富む)」7件、「クラスⅢ(示唆的)」13件、「クラスⅣ(弱い)」8件、「クラスⅤ(科学的根拠なし)」13件となった。また、その質をGRADEシステムにより4段階に分類したところ、「高」はなく、「中」4件、「低」22件、「非常に低」19件となった。
ランダム効果モデルを用いた解析の結果、32件(71%)の統合解析において、超加工食品の多量摂取が有害な健康アウトカムを有意に招きやすいという関連が見出された(P≦0.05;2型糖尿病は量反応関係が有でも無でも有意)。より厳格な閾値(P<1×10−6)を適用しても、32件のうちの11件は依然として有意であった。これら11件の中にはクラスⅠは4件あり、量反応関係でないものとしては、心血管疾患関連死(n=4、リスク比1.50、95%信頼区間1.37-1.63、エビデンスの質:非常に低)、不安アウトカム(n=4、オッズ比1.48、同1.37-1.59、低)、一般的な精神疾患の複合(n=6、オッズ比1.53、同1.43-1.63、低)で、量反応関係としては2型糖尿病のみ(n=7、量反応のリスク比1.12、同1.11-1.13、中)が挙げられた。クラスⅡは7件あり、全て量反応関係でないもので、全死亡(n=7、リスク比1.21、同1.15-1.27、低)、心疾患関連死(n=2、ハザード比1.66、同1.51-1.84、低)、2型糖尿病(n=7、オッズ比1.40、同1.23-1.59、低)、うつ病アウトカム(n=2、ハザード比1.22、同1.16-1.28、低)、有害な睡眠関連アウトカム(n=2、オッズ比1.41、同1.24-1.61、低)、喘鳴(n=2、リスク比1.40、同1.27-1.55、低)、肥満(n=7、オッズ比1.55、同1.36-1.77、低)であった。
著者らは、「健康への悪影響は、製品の栄養不足と高カロリーによって必ずしも完全に説明できるものではない。しかしながら、超加工食品の摂取を低減し、人々の健康を改善することを目的として、政府主導の政策枠組みや食事ガイドラインなどの 包括的な公衆衛生戦略を早急に行うべきである」と述べている。(HealthDay News 2024年2月29日)
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