大うつ病リスクは大うつ病に罹患した家族が多いほど上昇

提供元:AJ Advisers LLCヘルスデージャパン

大うつ病(MD)の罹患リスクは、MDに罹患した家族の人数が多いほど高くなるという研究結果が、「JAMA Psychiatry」に2023年2月8日掲載された1

コペンハーゲン大学病院(デンマーク)のFrederikke Hørdam Gronemannらは、1960〜2003年にデンマークで出生し、15歳時の生存が確認された2,903,430人(男性51.2%)を対象に、2018年12月31日までの家族のMD歴とMDのリスクとの関連について検討した。疾病リスク時間の対数をオフセット変数として用いた多変量ポアソン回帰により生存時間分析を行い、調整罹患率比(IRR)と95%信頼区間(CI)を推定した。

平均(標準偏差)21(13.0)年に及ぶ追跡期間中に、男性37,970人(2.6%)、女性70,223人(5.0%)がMDに罹患していた。解析の結果、母親、父親、および同じ両親からの同胞がMDとなった場合、男性ではMDに罹患するリスク(以下、MDリスク)は約2倍となり*a、女性でも類似した結果であった*b。MDリスクはMDに罹患した家族の数が多いほど高く、両親共にMDだった場合のIRR(95%CI)は男性で3.31(2.85-3.85)、女性で2.76(2.44-3.12)、さらに両親および1人以上の同胞がMDだった場合のIRR(95%信頼区間)は、男性で5.95(4.37-8.09)、女性で3.47(2.59-4.64)まで上昇した。

男性では、家族がMDに罹患したときの、その家族の年齢は、MDリスクと有意な関連を有していなかったが、女性では、母親の罹患年齢が70歳以上の場合と比べ、70歳未満でIRRは有意に高くなっていた*c

家族のMD罹患に遭遇したときの対象者本人の年齢と、MDリスクとの関連を見たところ、19歳未満で遭遇した際には、母親・父親・同じ両親からの同胞・片親が違う同胞、全ての場合において、男女とも約2倍となっていた。例えば、男性で母親のMDに遭遇した場合のIRR(95%信頼区間)は、1歳未満で1.95(1.70-2.25)、1〜12歳未満で同2.31(2.16-2.47)、12〜19歳未満で2.18(2.03-2.35)、19〜30歳未満で1.42(1.32-1.53)、30歳以上で0.77(0.70-0.85)であった。

著者らは、「MDリスクは、MDの家族歴を有する場合、その家族が誰かにかかわらず、男女とも約2倍に高まる」と述べている。(HealthDay News 2023年2月10日)

 

 

注釈
*a
母親、父親、および同じ両親からの同胞がMDとなった男性のMDに罹患するリスク:(IRR(95%信頼区間)はそれぞれ、母親2.10(2.02-2.19)、父親2.04(1.94-2.14)、同じ両親からの同胞2.08(1.97-2.19)〕。

 

*b
母親、父親、および同じ両親からの同胞がMDとなった男性のMDに罹患するリスク:(IRR(95%信頼区間)はそれぞれ、母親1.99(1.93-2.05)、父親1.85(1.78-1.93)、同じ両親からの同胞2.12(2.04-2.20)〕。

 

*c
女性における家族のMD罹患年齢別MDリスク:40歳未満:IRR 1.64(95%信頼区間 1.28-2.10)、40~49歳: 1.62(1.27-2.07)、50~59歳: 1.56(1.22-2.00)、60~69歳: 1.67(1.28-2.16)〕。

 

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参考文献

  1. Gronemann FH, et. al. JAMA Psychiatry. Published online February 8, 2023. doi: 10.1001/jamapsychiatry.2022.4965