不安障害は同性の親から子へ伝播しやすい

提供元:AJ Advisers LLCヘルスデージャパン

同性の親が不安障害を持つ子では不安障害を有する確率が有意に高くなる一方、異性の親が不安障害を持っていても子の不安障害を有する確率は有意には上昇しないとする研究結果が、「JAMA Network Open」に2022年7月12日報告された1

ダルハウジー大学(カナダ)のBarbara Pavlovaらは、2013年2月1日から2020年1月31日までの間にFamilies Overcoming Risks and Building Opportunities for Well-being(FORBOW)プロジェクトの一部として集められた気分障害の親を持つ子(5〜21歳)を対象に、親から子への不安障害の伝播が性別特異的であるか否かを調べた。対照に用いた家庭は、気分障害の親を持つ家庭と同じ学校および近隣地域から募集された。不安障害などの精神障害の診断基準にはDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders第4版(DSM-Ⅳ)とDSM-Ⅴを用いた。親に対してはSchedule for Affective Disorders and Schizophreniaと精神科診断構造化面接(Structured Clinical Interview for DSM-5 Disorders;SCID-5)により、子に対してはKiddie Schedule for Affective Disorders and SchizophreniaとSCID-5により、半構造化面接で不安障害などの精神障害について評価した。主要評価項目は子の不安障害とした。「不安障害」の内容は、全般性不安障害、社会不安障害、分離不安障害、パニック障害、広場恐怖症、単一恐怖症(simple phobia)、特定不能の不安障害、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)とした。親の不安障害と子の不安障害との関連は、ロバスト標準誤差(SE)を使ったロジスティック回帰モデルを用いて検討した。

対象児の総計は398人で、女児が203人〔平均年齢(標準偏差)11.1(3.7)歳〕、男児195人〔同10.6(3.1)歳〕で、全体の88.4%(352人)が白人だった。親について調査できたのは、母親が221人、父親が237人であった。398人の子のうち、108人(27.1%)が、調査時点までに1つ以上の不安障害の診断を受けていた。不安障害の発症率は、両親ともに不安障害のない子で最も低く(42/177人、23.7%)、片親に不安障害のある子(54/192人、28.1%)、両親ともに不安障害のある子(12/29人、41.4%)の順に高くなっており、子の不安障害のリスクは、不安障害の親の数の増加(0、1、2人)に比例して増加していた(オッズ比2.22、95%信頼区間1.38-3.57、P=0.001)。

親から子への性別特異的な不安障害の伝播を299人の子を対象に検討したところ、子の不安障害は、同性の親の不安障害と有意に関連するが〔オッズ比(OR)2.85、95%CI 1.52-5.34、P=0.001〕、異性の親の不安障害との関連は有意ではなかった(同1.51、0.81-2.81、P=0.20)。また、同性の親に不安障害がない場合、子の不安障害リスクは有意に低下していた(同0.38、0.22-0.67、P=0.001)。ところが、不安障害がない親が異性だった場合には、子の不安障害リスクの低下は有意ではなかった(同0.96、0.56-1.63、P=0.88)。

著者らは、「この結果は、親から子どもへの不安障害の伝播において、モデリング(観察学習)や代理学習などの環境要因が何らかの役割を果たしている可能性を示唆している。今後の研究で、親の不安障害を治療することにより、子どもの不安障害の発症を防ぐことができるのか、明らかにする必要がある」と述べている。(HealthDay News 2022年7月14日)

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参考文献

  1. Pavlova B, et al. JAMA Network Open. Published online July 12, 2022.