統合失調症および双極症の患者の特徴や疾患の経過に顕著な性差
提供元:AJ Advisers LLCヘルスデージャパン
重度精神疾患(SMI)である統合失調症(SZ)や双極症(BD)では、患者の特徴や疾患の経過に明らかな性差が見られ、特に物質使用や併存する身体疾患においてそれが顕著であったとする研究結果が、「Acta Psychiatrica Scandinavica」に2025年9月3日掲載された1。
SZの発症は、男性では40歳未満が多いのに対し、女性では二峰性(20~39歳および40歳以降)である 。BDは、女性では2型が多いが、男性では躁と物質使用が多い 。バルセロナ病院(スペイン)のMaria Serra-Navarroらは、ドイツとオーストリアの20施設が参加するPsyCourse Studyの対象者1,516人(BD群543人、SZ群517人、健常対照群456人)のベースラインデータを用いて横断研究を実施し、種々の項目における性別×診断の交互作用の有無や、BDおよびSZの臨床症状などにおいて見られる男女間の相違を検討した。
評価項目としたのは、社会人口統計学的な項目(年齢や就労など)、神経認知能力、臨床的特徴、物質使用(飲酒・喫煙も含む)、処方薬剤、身体的併存疾患、生活の質(QOL)や機能などで、神経認知能力関係の項目は全て対数変換され、性別ごとに一般化線形モデル(GLM)を用いて群間差を解析した。多重比較の補正には偽発見率(FDR)を使用した。次に、全ての項目について性別と診断を主要因子としてGLMにより性別との関連を分析し、性別×診断の交互作用も評価した。多重比較の補正には交互作用の分析を除きFDRを使用した。
その結果、年齢(P=0.001)、治療開始年齢(P=0.05)、罹病期間(P=0.03)、違法薬物の使用(P=0.01)、喫煙経験(P=0.05)において性別×診断の交互作用が有意であった。物質使用(違法薬物の使用、喫煙)については、「女性」が抑制因子であり、最もリスクが高いのはSZ群の男性であった(違法薬物使用率46.13%、喫煙経験率63.10%)。単語記憶学習検査(Verbal Learning and Memory Test;VLMT)や精神運動速度を評価するDigit Symbol Test(DST)など8種類の神経認知能力の結果は、男女とも、全て対照群が最も良好、次がBD群で、SZ群が最も悪かった。また、BD群においては、女性は男性より、単語記憶と精神運動速度において優れていた。例えば、VLMTで正しく思い出した単語数の平均値は、女性49.88(95%信頼区間48.28–51.48)、男性46.35(同44.78–47.93)、DSTの平均値は、女性64.33(95%信頼区間62.35-66.32、男性59.43(同57.41-61.45)であり、いずれも有意差が認められた(それぞれP=0.003、P<0.001)。SZやBDを有する女性および男性は、対照群に比べ、甲状腺機能亢進または低下であると診断された経験を有する者が有意に多かった(女性:P=0.01、男性:P=0.002)。
論文の共著者であるバルセロナ病院クリニックのAnabel Martinez-Aránは、「今回の結果から、性別を考慮した治療は、臨床転帰の改善、健康的な習慣の促進、そして併存疾患の管理に不可欠である 」と雑誌の発行元であるJohn Wiley & Sons社のプレスリリースの中で述べている2。
なお、2人の著者が、バイオ医薬品企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2025年9月12日)
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