摂食障害は身体的・精神的健康の悪化と関連

提供元:AJ Advisers LLCヘルスデージャパン

摂食障害は、身体的・精神的健康が悪化するリスクや死亡リスクの上昇と関連し、かつそれらは長期に渡るとする研究結果が、「BMJ Medicine」に2025年11月18日掲載された1

英マンチェスター大学のCatharine Morganらは、Clinical Practice Research Datalink(CPRD)のプライマリケア電子健康記録を用いたコホート研究を実施し、摂食障害(神経性やせ症〔AN〕、過食症〔BN〕、むちゃ食い症〔BED〕、その他すべての摂食障害)であると初めて診断された10〜44歳の患者を対象に、短期的・長期的な身体的・精神的健康アウトカムの悪化および死亡リスクとの関連を検討した。電子健康記録は、1998年1月1日から2018年11月30日までを対象期間とし、病院記録(Hospital Episode Statistics)および死亡データ(Office for National Statistics)とリンクさせた。

症例群は、摂食障害患者24,709人(AN 14.5%、BN 20.6%、BED 4.9%、その他60%)とし、摂食障害の診断日をindex dateとした。対照群はindex date以前に摂食障害が認められなかった者で、症例と年齢・性別・診療所を一致させ、症例1人に対し最大20人をマッチさせた493,001人とした。両群とも、女性が89.2%、10〜24歳が3分の2(64.5%)を占めていた。追跡は、index dateを起点とし、転院、診療所がCPRDへのデータ提供を停止、死亡、観察期間の終了(2018年11月30日)、対照群が摂食障害を発症、のいずれかが最初に起きるまで行った。非致死的アウトカムは、身体的健康アウトカムとして骨折、骨粗鬆症、糖尿病(1型、2型、詳細不明の糖尿病)、心臓・腎臓・肝臓の重篤な疾患または臓器不全を、精神的健康アウトカムとして非致死的な自傷行為、うつ病、不安症、強迫症、パーソナリティ症を、それぞれ評価した。また、致死的アウトカム(死亡)については、全死因死亡、自然死、非自然死、自殺を評価した。コホート全体での平均追跡期間は4.03(四分位範囲1.56〜8.78)年であった。

層別化Cox回帰モデルによる解析の結果、症例群では、対照群に比べ、全ての身体的健康アウトカムの発生リスクが高かった。診断後1年未満、1年以上5年未満、5年以上を比べると、骨折を除いた全てのアウトカムの項目において、1年未満におけるリスクは他の2つの時期より高く、そのハザード比(HR)は、腎不全で5.95(95%信頼区間〔CI〕4.17-8.49)、肝疾患で6.68(同3.82-11.68)であり、1年後の時点における人口1万対超過発生数は、それぞれ15件と6件であった。5年以上経過後におけるHRは、1年未満や1年以上5年未満より低下したものの、腎不全で2.15(同1.77-2.62)、肝疾患で2.64(1.83-3.83)と依然高く、5年後の時点における人口1万対超過発生数はそれぞれ45件と18件であった。

精神的健康アウトカムについても、診断後1年未満では、非致死的自傷行為(HR 9.44、95%CI 8.24-10.68)、うつ病(同7.28、6.58-8.06)、不安症(同5.38、4.81-6.03)、強迫症(同12.57、10.12-15.61)、パーソナリティ症(同15.92、12.75-19.87)のリスクがいずれも大幅に高かった。5年以上経過後のHRもこれら全てで有意に高かった(それぞれ2.74、2.00、2.14、3.48、8.25)*a

死亡についても、自然死・非自然死とも高リスクで、診断後1年未満のHRは、非自然死で5.11(95%CI 2.20-11.85)、自殺で13.65(同4.80-38.78)、中毒死で13.75(同3.23- 58.46)と極めて高かった。5年以上経過後においても、非自然死のHRは3.20(同1.90–5.38)と高いまま推移し、非自然死の10年後の時点における人口1万対累積超過死亡は341件(同236-479)に達した。自殺リスクも依然として高く、5年以上経過後のHRは2.74(同1.29–5.79)、10年後の時点における人口1万対累積超過死亡は169件(同103-266)であった。

著者らは、「医療従事者は、摂食障害の影響が長期にわたって続くことを認識すべきであり、同時に、目下の症状を管理および改善するため、支援・治療をきちんと続けることについてもしっかり意識すべきだ」と述べている。(HealthDay News 2025年11月20日)

 

注釈
*a
非致死的自傷行為:HR 2.74 (95%CI 2.30-3.27)
うつ病:同2.00((1.80- 2.21)
不安症:同2.14(1.94-2.35)
パーソナリティ症:同8.25(6.83-9.96)
強迫症:同3.48(2.68-4.50)

 

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参考文献

  1. Morgan C, et al. BMJ Medicine. Published online November 18, 2025. doi: 10.1136/bmjmed-2025-001438