中年期のうつ病の症状のうち6つが後年の認知症リスク増加と関連
提供元:AJ Advisers LLCヘルスデージャパン
中年期のうつ病は、その後の認知症リスクの増加と関連することが判明しているが1、認知症と関連するのはうつ病全体ではなく、個々の症状のうちの6つであるとする研究結果が、「The Lancet Psychiatry」に2025年12月15日掲載された2。
英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)のPhilipp Frankらは、英国の長期健康研究(Whitehall II研究)に参加した成人5,811人(ベースライン時の平均年齢55.7歳、女性28.3%、白人92.2%)を対象に、中年期のうつ病の症状と後年の認知症発症との関連を評価した。参加者のうつ病の症状は、ベースライン時(1997~1999年)に自記式のGeneral Health Questionnaire(GHQ-30)により評価し、0〜30点で5点以上を「うつ病」とした。また、認知症の遺伝的リスク因子としてAPOE ε4遺伝子の保有数(0/1/2アリル)を評価した。認知機能は、ベースライン時に加え、追跡調査時に最大4回(2002〜2004年、2007〜2009年、2012〜2013年、2015〜2016年)、記憶(20語自由想起テスト)、推論(アリス・ハイム4-Iテスト)、音韻流暢性(sで始まる単語)、意味流暢性(動物名)を用いて評価した。各領域のスコアは、ベースライン時の平均値および標準偏差(SD)を基準にしてZスコア化した。
平均22.6年の追跡期間中に586人(10.1%)が認知症を発症した。Cox比例ハザードモデルを用いた解析の結果、GHQ-30の症状のうち、後年の認知症リスクと有意に関連した症状として、6つが特定された。それらは、1)自信を失っている(ハザード比〔HR〕1.51、95%信頼区間〔CI〕1.16〜1.96)、2)問題をうまく処理できない(同1.49、1.09〜2.04)、3)他人に対し、優しさや愛情を感じない(同1.44、1.06〜1.95)、4)常に緊張や不安を感じている(同1.34、1.03〜1.72)、5)仕事や作業の進め方に満足できない(同1.33、1.05〜1.69)、6)集中できない(同1.29、1.01〜1.65)である。次に、これら6症状と認知症リスクの関連が、既知の11個の認知症リスク因子(喫煙、身体活動、肥満、高血圧、飲酒、教育レベル、LDL-C、糖尿病、難聴、社会的孤立、APOE ε4遺伝子)の影響を受けているのかを検討したところ、60歳以上でAPOE ε4遺伝子と難聴をそれぞれ調整した場合に、一部で関連の減弱が見られたものの、大部分の「症状–認知症」の関連はこれら因子から独立していた。
Frankは、「多くの人が中年期に日常的に経験するこれらの症状の中には、実は長期的な脳の健康に関する重要な情報が含まれている。こうした症状のパターンに目を向けることは、認知症を早期に予防するための新たな方策を開発することにつながるのではないか」とニュースリリースの中で述べている3。(HealthDay News 2025年12月22日)
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