軽症COVID-19患者の罹患後症状の多くは1年以内に改善・消失

提供元:AJ Advisers LLCヘルスデージャパン

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患したものの軽症であった患者では、嗅覚・味覚障害、認知機能障害、呼吸困難などの罹患後症状(いわゆる後遺症;Long COVID)のリスクが上昇するが、1年以内に改善・消失する場合が多いことが報告された。詳細は「BMJ」に2023年1月11日掲載1

KIリサーチ研究所(イスラエル)のBarak Mizrahiらは、同国の大規模な電子健康記録から、2020年3月1日~2021年10月1日に新型コロナウイルスのPCR検査を受けた1,913,234人を特定。PCR検査で陽性となったものの、感染後1カ月以内に入院に至らなかった「軽症」の患者299,885人を抽出した。さらに、年齢と性別、PCR検査時期、ワクチン接種歴を一致させた同人数の陰性対照群を設定し、両群間で後遺症のリスクを比較した。

COVID後遺症は、既報の70項目の症状について、感染後30~180日を感染後早期、180〜360日を後期として医師の診断の有無を評価した。分析は、ワクチン未接種での感染とブレークスルー感染(2回目のワクチン接種から14日以降のPCR検査陽性)に分けて実施し、年齢と性別、新型コロナウイルスの変異株なども考慮した。逆確率重み付け法を用いたCox回帰およびカプランマイヤー法により、両群間のハザード比(HR)および1万人当たりのリスク差、95%信頼区間(CI)を算出した。

その結果、ワクチン未接種の軽症COVID-19患者は陰性対照群と比較して、感染後1年間にわたり、いくつかの罹患後症状のリスクが高いことが明らかになった。嗅覚・味覚障害*a、集中力・記憶障害*b、呼吸困難*c、倦怠感*d、動悸*e、レンサ球菌性扁桃炎*f、めまい*gのリスクは、感染後早期に上昇し、後期も残存していた。一方、呼吸器障害*h、脱毛*i、胸痛*j、筋肉痛*k、咳*lのリスクは、感染後早期のみ上昇しており、後期には陰性対照群と同程度に回復していた。

こうした後遺症のリスクの推移を確認したところ、呼吸困難、動悸、倦怠感、咳、胸痛のリスクは感染直後に最も高く、2カ月目以降は減少していた。特に、動悸と胸痛のリスクは8カ月目、咳のリスクは4カ月目にはベースライン時まで回復していた。一方、嗅覚・味覚障害のリスクは6カ月目*m、集中力・記憶障害のリスクは4カ月目*nにピークを迎え、その後ゆっくりと減少したものの1年後も残存していた。

どの年齢層においても複数の後遺症のリスク上昇が認められた。しかし、小児・若年者ではその種類が少なく、感染後後期にそのほとんどは回復していた。男性と女性では、ほとんどの後遺症のリスクは同程度だった。新型コロナウイルスの変異株(野生株、アルファ株、ベータ株)が異なっても、後遺症は同程度であった。ワクチン接種後のブレークスルー感染者は、ワクチン未接種の感染者と比較して、ほとんどの症状のリスクは同程度であったが、呼吸困難のリスク*oは有意に低いものであった。

著者らは今回の研究について、感染者では感染後に病院受診の頻度が増えるなどの行動バイアスが存在し得ることや、感染後後期には症状が過少報告された可能性があるといった懸念点があることを認めている。その上で、「パンデミック初期からCOVID後遺症は懸念され、議論されてきた。しかし軽症患者の場合、健康アウトカムの多くは数カ月間持続した後、1年以内に正常レベルに回復することが観察された」と結論付けている。(HealthDay News 2023年1月12日)

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注釈

*a
早期:HR 4.59(95%CI 3.63-5.8)、リスク差19.6(95%CI 16.9-22.4)
後期:HR 2.96(95%CI 2.29-3.82) 、リスク差11.0(95%CI 8.5-13.6)

*b
早期:HR 1.85(95%CI 1.58-2.17)、リスク差12.8(95%CI 9.6-16.1)
後期:HR 1.69(95%CI 1.45-1.96)、リスク差13.3(95%CI 9.4-17.3)

*c
早期:HR 1.79(95%CI 1.68-1.90)、リスク差85.7(95%CI 76.9-94.5)
後期:HR 1.3(95%CI 1.22-1.38)、リスク差35.4(95%CI 26.3-44.6)

*d
早期:HR 1.78(95%CI 1.69-1.88)、リスク差108.5(95%CI 98.4-118.6)
後期:HR 1.30(95%CI 1.22-1.37)、リスク差50.2(95%CI 39.4-61.1)

*e
早期:HR 1.49(95%CI 1.35-1.64)、リスク差22.1(95%CI 16.8-27.4)
後期:HR 1.16(95%CI 1.05-1.27)、リスク差8.3(95%CI 2.4-14.1)

*f
早期:HR 1.18(95%CI 1.09-1.28)、リスク差13.4(95%CI 6.8-19.9)
後期:1.12(95%CI 1.05-1.20)、リスク差16.6(95%CI 7.4-25.9)

*g
早期:HR 1.14(95%CI 1.06-1.23)、リスク差11.4(95%CI 4.7-18.1)
後期:HR 1.17(95%CI 1.09-1.26)、リスク差16.7(95%CI 8.6-24.8)

*h
HR 2.4、95%CI 1.67-3.44、リスク差3.7、95%CI 2.3-5.3

*i
HR1.75、95%CI 1.59-1.93、リスク差31.6、95%CI 26.2-36.9

*j
HR1.41、95%CI 1.33-1.49、リスク差56.3、95%CI 47.0-65.7

*k
HR1.24、95%CI 1.15-1.35、リスク差17.5、95%CI 11.2-23.8

*l
HR 1.09、95%CI 1.04-1.14、リスク差22.2、95%CI 9.7-34.6

*m
HR 5.58、95%CI 4.02-7.76

*n
HR 2.08 95%CI 1.71-2.53

*o
HR 1.58, 95%CI 1.18-2.12

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参考文献

  1. Mizrahi B, et al. BMJ. 2023 Jan 11;380:e072529.