オンラインでのシングルセッション介入は10代の抑うつ症状の軽減に有効か



提供元:AJ Advisers LLCヘルスデージャパン

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック中に抑うつ症状を有していた若年者に対し、オンラインでのシングルセッション介入(SSI)を試みたところ、一定の効果が得られたとするランダム化比較試験の結果が、「Nature Human Behaviour」に2021年12月9日に掲載された1

米ストーニーブルック大学のJessica L. Schleiderらは、2020年11月19日から12月6日の間にソーシャルメディアを通して13〜16歳の若年者に心理学研究への参加を呼びかけ、Patient Health Questionnaire-2でのスコアが2点以上、すなわち抑うつ症状を有すると考えられる2,452人を対象にランダム化比較試験を実施し、COVID-19パンデミック中における、オンラインで行うSSIの効果を検証した。

対象者は、行動活性化SSI(BA-SSI)群(821人)、グロースマインド(Growth Mind)SSI(GM-SSI)群(813人)、支持療法的なSSI(対照群、818人)の3群にランダムに割り付けられた。BA-SSIは、楽しみや達成感など意義のある行動を増やすことで気の塞ぎや自尊心の低さを克服することや、抑うつについての心理学的教育など、GM-SSIは、脳の神経可塑性についての説明、その可塑性ゆえに個人の特性にも可変性があることを教えることなど、それぞれ5つの要素で構成されている。いずれの介入も、所要時間は20〜30分である。それぞれの介入の効果を、介入後のアウトカム〔絶望感、本人が感じるエージェンシー(目標指向的意志)〕と介入終了から3カ月後のアウトカム[抑うつ症状、絶望感、目標指向的意志、全般性不安症状、COVID-19関連のトラウマ症状、制限型の摂食障害)により検証した。線形回帰分析を用いて、対照群と比較した。

抑うつ症状はshort-form Children’s Depression Inventory 2(CDI-SF)により評価した。ベースライン時に86.17%が臨床的に明らかな抑うつ症状を有すると評価された。BA-SSI群とGM-SSI群では、対照群に比べて3カ月後の抑うつ症状が軽減した*a 。

絶望感はBeck Hopelessness Scale-4により評価した。BA-SSI群とGM-SSI群で、介入後*b 、および3カ月後*cの双方で軽減していた。

目標指向的意志は、State Hope ScaleのAgency Subscaleにより評価した。BA-SSI群では介入後に増大が認められたが*d、3カ月後には増大が認められなかった〔t(1,637)= 1.57、P=0.12、d=0.08、同−0.02〜0.17〕*e。一方、GM-SSI群では、介入後および3カ月後の双方で、目標指向的意志が増大していた*f

全般性不安症状はGeneral Anxiety Disorder 7により、COVID-19に関連するトラウマ症状はChild Trauma Screen-Reaction Scale(CTS-RS)により、それぞれ評価した。BA-SSI群では、3カ月後に全般性不安症状とトラウマ症状に減少が見られなかった〔順に、t(1,637)=−0.37、P=0.72、d=0.02、同−0.08〜0.12;t(1,637)= −1.94、P=0.05、d=0.10、同−0.001〜0.19〕*g。これに対して、GM-SSI群では、全般性不安症状とトラウマ症状の両方が減少した*h

摂食制限(Posthoc解析)は、Dietary Restriction Screener(DSR-2)により評価した。BA-SSI群では、介入前から介入終了後3カ月までの間に、過去1カ月間の摂食制限が減少した*i。同様に、GM-SSI群でも、介入前から介入終了後3カ月後までの間に、摂食制限が減少した*j

Schleiderは、「平均して、抑うつ症状に対するSSIの効果は中程度であった。SSIにより症状が大きく軽快した人もいれば、わずかしか軽快しなかった人もいたが、公衆衛生の観点から見ると、アクセスが非常に簡単である上に無料で利用できるこの種の介入法は、この脆弱な若年者におけるトータルとしての抑うつ症状の軽減に役立つだろう」と述べている。

なお、複数の著者が出版業界との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている(HealthDay News 2021年12月16日)。

 

注釈

*a
BA-SSI群t(1,673)=−3.62、調整済みP(以下、P)<0.001、Cohen's d(以下、d)=0.18、95%信頼区間(CI)0.08〜0.28;GM-SSI群t(1,629)= −3.53、P<0.001、d=0.18、同0.08〜0.27

 

*b
BA-SSI群t(1,637)=−5.22、P<0.001、d=0.26、95%CI=0.16〜0.36;GM-SSI群t(1,629)=−5.80、P<0.001、d=0.28、95%CI=0.18〜0.38

 

*c
BA-SSI群t(1,637)=−3.49、P<0.001、d=0.17、95%CI=0.08〜0.27;GM-SSI群t(1,629)=−3.00、P=0.002、d=0.15、95%CI=0.05〜0.25。

 

*d
t(1,637)=6.20、P<0.001、d=−0.31、95%CI=−0.40〜−0.21

 

*e
t(1,637)=1.57、P=0.12、d=0.08、95%CI =−0.02〜0.17

 

*f
介入後t(1,629)=−3.22、P<0.001、d=−0.15、95%CI =−0.24〜−0.05;3カ月後t(1,629)=2.46、P=0.01、d=−0.12、95%CI =−0.22〜−0.02

 

*g
全般性不安症状t(1,637)=−0.37、P=0.72、d=0.02、95%CI =−0.08〜0.12;トラウマ症状t(1,637)=−1.94、P=0.05、d=0.10、95%CI =−0.001〜0.19

 

*h
全般性不安症状t(1,629)=−2.08、P=0.038、d=0.10、95%CI=0.006〜0.20;トラウマ症状t(1,629)=−2.08、P=0.037、d=0.10、95%CI=0.006〜0.20

 

*i
t(1,637)=3.07、P=0.002、d=0.15、95%CI=0.06〜0.25

 

*j
t(1,629)=1.99、P=0.047、d=0.10、95%CI=0.001〜0.20

 

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Photo Credit: Adobe Stock

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参考文献
  1. Schleider JL, et al. Nature Human Behaviour. Published online December 9, 2021. doi: 10.1038/s41562-021-01235-0
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