Status message

COVID-19パンデミックが若年者の心身の健康に及ぼす影響を測るCOH-FITプロジェクトの現状報告

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックにより、学校が閉鎖されたり、社会的交流が厳しく制限されたりするなど、世界中の人々が、日課や家庭の役割の変更を余儀なくされている。特に、若年者はこうした社会的状況の変化に対しては弱い立場にあることから、パンデミックが若年者のメンタルヘルスにどのような影響を及ぼしているかを把握することは喫緊の課題である。「感染時の健康と機能に関する共同アウトカム研究(Collaborative Outcomes study on Health and Functioning during Infection Times;COH-FIT)」は、COVID-19パンデミックが若年者を含む世界の一般の人々のウェルビーイングや心身の健康などに及ぼす影響を評価するための国際調査プロジェクトで、その方法の詳細と現状報告が、オタワ大学(カナダ)のMarco Solmiらにより、「Journal of Affective Disorders」2022年2月15日号に掲載された1

COH-FITは、2020年4月26日に開始された、匿名で行うオンライン調査プロジェクト(30カ国語に対応)であり、現在、世界49カ国から230人を超える研究者が参加している。その目的は、COVID-19パンデミックがウェルビーイング、精神面や身体面の健康や機能、医療ケアへのアクセス状況などを調べることにある。

調査は3回にわたって実施される予定で、第一回は2020年4月27日に開始され、WHOによるパンデミック終息宣言までの期間、第二回はパンデミックの終息宣言後6〜18カ月、第三回は終息宣言後24〜36カ月である。6〜13歳の小児用の調査票としてはCOH-FIT-Child(COH-FIT-C)、14〜17歳の思春期の者に対してはCOH-FIT-Adolescent(COH-FIT-AD)が使用される。

これら2種類の若年者向けの調査では、まず親が子どもの年齢や性別、身体的/精神的併存疾患について、さらに、Children's Global Assessment Scale(CGAS)で子どもの社会的機能について、またPediatric Quality of Life Enjoyment and Satisfaction Questionnaire(PQ-LES-Q)で子どもの生活の質について回答する。次いで、対象者本人の自己回答に移り、思春期ならCOH-FIT-AD(成人向け質問票であるCOH-FIT-Aと同内容、性活動についての項目のみ除外)に、小児ならCOH-FIT-C(内容が簡略化されている)に、それぞれ回答してもらう。

主要評価項目としてCOH-FIT-ADとCOH-FIT-Cに共通している項目は、ウェルビーイング(WHO-5精神的健康状態表を変更して、6段階のリッカートスケールではなく0〜100の視覚的評価スケールで評価する)、および不安、抑うつ、心的外傷、ストレス、睡眠、集中力の領域に関して評価を行う複合精神病理学スコア(C-P-Score)である。副次評価項目として、フラストレーション、怒り、退屈、自殺念慮、物質乱用、電子機器・メディアの使用状況、家族との関係、感染への対処方法、医療ケアへのアクセス状況(利用しやすさや利用できるケアの種類など)なども取り上げる。

対象とする若年者は、スノーボールサンプリングなどの非確率抽出法や層化抽出法によった。2021年6月14日までに、59カ国の13,149人(小児5,781人、思春期7,278人)が本プロジェクトに参加した。このうちの11カ国(オーストリア、ブラジル、フランス、ドイツ、ギリシャ、イタリア、ポーランド、スペイン、スイス、英国、米国)の9,155人(小児4,550人、思春期4,605人)は、層化抽出法により抽出されたものである。

著者らは、「COVID-19パンデミックに関わる心理社会的ストレス要因の大きさと範囲を考えると、パンデミックが若年者の健康とウェルビーイングに及ぼす有害な影響を理解し、軽減することが肝要だ。COH-FITプロジェクトは、COVID-19が若年者とその家族の心身の健康、ウェルビーイング、機能、QOLに与える影響を国際レベルで推定するのに適している。本プロジェクトを通して得られるデータは、現在および将来のパンデミックが若年者に与える影響を最小限にとどめるための現在および将来のエビデンスに基づいた介入方法や政策を講じる上で欠かせない情報になるだろう」と結論付けている。(編集協力HealthDay)

Copyright © 2022 Lundbeck Japan. All rights reserved.

Photo Credit: Adobe Stock

参考文献
  1. Solmi M, et al. Journal of Affective Disorders 2022 February 15;299:367-376.
Progress in Mind次のウェブサイトに移動します
Hello
Please confirm your email
We have just sent you an email, with a confirmation link.
Before you can gain full access - you need to confirm your email.
このサイトの情報は、医療関係者のみを対象に提供されています。
Congress
Register for access to Progress in Mind in your country