統合失調症患者の再発履歴に基づく再発時期の予測

統合失調症患者では、過去の再発回数が多いほど次の再発までの期間が短くなる傾向にあることが、「BMC Psychiatry」に2021年12月21日掲載された論文1で明らかにされた。

H. Lundbeck A/S(デンマーク)のKristian Tore Jørgensenらは、スウェーデンの政府機関である国民健康福祉委員会が運営する2種類の実際の臨床データ(Swedish National Patient Register、Swedish Prescribed Drug Register)を用いて、統合失調症の再発までの期間と患者の過去の再発歴との関係の定量化を試みた。

今回の研究においては、再発のエピソードは2006年1月から2015年12月までのものとした。抽出したデータには、1987年から2015年の間に統合失調症の診断を1回以上受け、かつ2005年から2015年の間に抗精神病(AP)薬を1回以上処方された患者が含まれていた。メインとなる分析では、これらの患者の中から、2006年1月から2015年12月までの期間内に統合失調症の診断を1回以上受け、抗精神病(AP)薬を1回以上処方された31,544人を特定し、さらにこの中から、統合失調症と診断された記録が2つ以上、処方されたAP薬の調剤が1回以上、精神疾患による入院からの退院が1回以上、2006年1月1日より前に統合失調症と診断された者は除外、などの基準を満たした2,994人を対象とした。主要評価項目は再発エピソードの数と時期とし、最初の分析においては「7日以上にわたる精神科入院」を再発と見なした。過去の再発回数と年齢層〔18〜24歳、25〜29歳、30〜34歳、35〜39歳、40〜44歳、45〜49歳、50〜54歳、、55〜59歳、60歳以上〕を時間により変化する共変量とした多変量調整Cox比例ハザードモデルを用いて、その後の再発のリスクについてハザード比(HR)を算出し、死亡を競合リスクとして考慮して、次の再発までの時間をAalen−Johansen推定量を用いて推定した。

対象者の初回診断時の平均年齢は33.3〔標準偏差(SD)11.5〕歳、追跡開始時の平均年齢は32.4(SD 12.0)歳、平均追跡期間は5.9(SD 2.6)年で、研究期間中に5,820件の再発エピソードが確認された。最初の精神科での入院(1晩以上)から退院後、1.52年以内に、再発歴のない患者の50%が最初の再発エピソードを経験したと推定された(すなわち、中央値1.52年)。その後、再発を繰り返すごとに、次の再発が生じるまでの期間が次第に短縮する傾向が認められ、例えば、再発歴が1回の患者が2回目の再発を経験する中央値は1.23年〔再発歴がない場合を1とした場合のHR 1.84、95%信頼区間(CI)1.71-1.99)〕、再発歴が2回なら、次の再発までの中央値は0.89年(同2.77、2.53-3.03)、5回なら0.46年(同6.38、5.53-7.37)、10回なら0.22年(同18.65、15.42-22.56)という結果となった。

次に、「再発」を「AP薬の変更後に生じた1晩以上の入院」とした場合に、結果がどうなるかを検討したところ、再発歴1回の患者が2回目の再発を経験する中央値は6.47年(HR2.76、95%CI 2.39-3.18)、再発歴2回なら3回目再発までの中央値は2.26年(同6.10、5.00-7.43)に短縮する、という具合に、再発回数が増加するにつれ、次に再発するまでの時間の推定値は短縮するという、同様の傾向が見られた。

2006年1月1日より前に統合失調症と診断され、および/または精神科病院を退院した患者28,863人〔男性58.6%、初回診断時の平均年齢36.1(SD 11.5)歳、追跡調査の平均期間18.7(SD 8.4)年〕を対象とし、「7日以上にわたる精神科入院」を再発と見なした場合、150,627件の再発エピソードが確認された。再発歴のない患者と比較した再発のHRは、再発歴1回の患者で2.02(95%CI 1.98-2.06)、再発歴2回の患者で3.05(同2.98-3.12)であった。

また、条件を「統合失調症の診断を1回以上受けていた」とした場合、これを満たした患者は3,821人いた〔男性65.4%、平均年齢33.4歳(標準偏差±11.6歳)、追跡調査の平均期間5.8(同±2.7)年〕。「7日以上にわたる精神科入院」を再発とした場合、7,116件の再発エピソードが確認された。再発歴のない患者と比較した再発のHR(95%信頼区間)は、再発歴1回の患者で1.94(95%CI 1.81-2.07)、再発歴2回の患者で2.90(同2.67-3.14)であった。

著者らは、「再発エピソードが起きるたびに次の再発までの期間が短縮するというこの結果は、統合失調症の進行が加速する傾向を持つことを示すものだ。早期のうちに、効果的、また個々の患者が必要としかつ受容可能な治療を行うと、患者に継続して治療を受けてもらうこと、ひいては回復や再発予防が期待できるであろう」と結論付けている。(編集協力HealthDay)

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注釈
本研究はH. Lundbeck A/Sと大塚製薬株式会社の資金提供により行われた。
本研究にはH. Lundbeck A/Sの社員が含まれる。

参考文献
  1. Jørgensen KT, et al. BMC Psychiatry 2021 December 21;21(1):634. DOI: https://rdcu.be/cIcEE(2022年3月4日閲覧).
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