人工知能は精神科での個別化医療への道を開くか?

人工知能(AI)は社会のあらゆる部分に導入され、変革させつつありますが、精神科領域においても潜在的なベネフィットがあります。バイオタイピング(生物型分析)とフェノタイピング(表現型分析)は、それぞれの薬剤の効果が得られる可能性が最も高い患者を特定するのに役立つと考えられ、また、統合AIモデルは治療反応を予測することができ、更にはEMA (ecological momentary assessment生態学的瞬間評価)は将来、症状のモニタリング及び精神科医による患者ケアの手引きとして役立つかもしれません。

カナダのトロント大学のロジャー・マッキンタイア教授は、オンラインで開催された第7 回アジア神経精神薬理学会大会(AsCNP 2021、2021年10月22~23日)で、精神科分野における薬剤開発は「革新の停滞」に陥っていると述べました。抗うつ薬への反応率は過去40年間にわたり比較的変わっておらず、同時に、うつ病治療の焦点が変化してきており、症状がないことではなく、よりドメインベース及び患者報告アウトカム(PRO)の評価に移行しています1

 

MDDの臨床的フェノタイプは、炎症バイオタイプから求められるかもしれません

炎症性障害と精神疾患との間の関連性は、精神科における注目の話題となっています。炎症性サイトカイン値の変化が大うつ病性障害(MDD)の患者における病理学的変化と関連しており、従来の抗精神病薬への反応を変化させる可能性があることが、研究により示されています2-4

バイオタイピングは、特定の薬剤の効果を得る可能性が最も高い患者集団を特定します。

しかし、すべてのMDD患者にサイトカイン値の変化が認められるわけではなく、徐々に明らかになりつつある要因としての炎症バイオタイプにはばらつきがあるため、様々な種類のうつ病に関するバイオフェノタイプを試し明確化していく必要があると、マッキンタイア教授は述べています。

 

機械学習では統合モデルが治療反応を最も正確に予測する

次元削減手法を用いたAIにより、複数の異なるサイトカインのパターンを把握することができます。この技術により、双極性うつ病の患者を異なるバイオタイプに分類することが可能となり、どのような患者がどの治療法に最も良い反応を示すかを予測するうえで役立ちます5

双極性うつ病の成人患者の治療予後を正確に予測する機械学習アルゴリズムの有用性を評価するために実施された、20以上の試験を含むメタ解析によると、複数のデータ型を用いて学習した統合モデルでは、より低次元のデータ型と比較して精度が有意に高いことがわかりました。統合モデルには、患者の現象学的特性、神経画像検査、末梢遺伝子発現データなどのデータ型が含まれていました(精度の比率 [95% CI]:0.93[0.86-0.97] vs 0.68[0.62-0.74] ~ 0.85[0.81-0.88]、p<0.01)6

 

AIは、複数の異なる生体システム間における相互作用を統合するために役立つ

MDDの追跡とモニタリングが症例管理を容易にする

患者にデジタル指紋を付ける機能も、精神科では重要な助けとなるかもしれません。生態学的瞬間評価とmind.meアプリを利用して、臨床的に重要なうつ病のある成人から音声認識、携帯メールおよび語彙の使用などのデータを収集することにより、症状が追跡されました。これにより、抑うつ症状を91%の精度、98%の感度及び93%の特異度で予測することができました(n=200)7

「AIにより新薬を発明することにはならないが、様々な生体系内および生体系間で起こる相互作用はAIでしか測定できず、そうした相互作用を統合させるうえでAIは有用だ」と、マッキンタイア教授は述べました。

Our correspondent’s highlights from the symposium are meant as a fair representation of the scientific content presented. The views and opinions expressed on this page do not necessarily reflect those of Lundbeck.

参考文献
  1. Manderscheid et al. Prev Chronic Dis 2010; 7:A19. Epub 2009.
  2. Hepgul N, et al. Neuropsychopharmacology 2016;41:2502-11.
  3. Osimo EF, et al. Brain Behav Immun 2020;87:901-909.
  4. Haroon E, et al. Psychoneuroendocrinology 2018;95:43-49.
  5. Lee Y, et al. Mol Psychiatry 2021:26: 3395-3406.
  6. Lee Y, et al. J Affect Disord 2018;241:519-532.
  7. http://mindme.health/ (2021年12月23日閲覧)
  8. McIntyre RS, et al. J Psychiatr Res 2021;135:311-317.
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