COVID-19パンデミック中に若年者における抑うつと自殺のリスクが増加



提供元:AJ Advisers LLCヘルスデージャパン

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック中に12〜21歳の若年者、特に女性において、抑うつと自殺のリスクが上昇したとする研究結果が、「Pediatrics」に2021年8月4日発表された1

米フィラデルフィア小児病院(CHOP)のStephanie L. Mayneらは、300,000人近くの若年者の電子カルテデータから成るCHOPの大規模プライマリケアネットワークを用いて、2019年6月1日から2020年12月31日までの間にプライマリケア外来を受診した12〜21歳の者の電子カルテデータを抽出。COVID-19のパンデミック前(2019年6〜12月)とパンデミック中(2020年6〜12月)での、1)受診者のうち抑うつと自殺リスクに関するスクリーニングを受けた者の割合、2)抑うつ症状ありと判定された者の割合、3)自殺リスクありと判定された者の割合の3つのアウトカムを比較した。

スクリーニング前の2週間における抑うつと自殺のリスクに関しては、Patient Health Questionnaire-Modified for Teens(PHQ-9-M)を用いて評価した。PHQ-9-Mは抑うつを評価する9項目に自殺リスクを評価するための2項目を加えたもので、11〜27点を中等度〜重度の抑うつ症状ありと判定した。自殺リスクについては、PHQ-9-Mの中の3つの質問で評価し、いずれか一つでも「yes」と答えた場合を自殺のリスクありとみなした。パンデミック前とパンデミック中の3つのアウトカムの変化は、月単位で全体を計算し、また、性別、人種/民族(非ヒスパニック系白人、非ヒスパニック系黒人、ヒスパニック系またはラテン系、アジア系米国人、その他の人種)、医療保険の種類、居住地域の世帯収入の中央値の変化についても、サブ解析を行って検討した。修正ポアソン回帰を用いて、パンデミック前からパンデミック中に生じた変化の有病率比(prevalence ratio, PR)を算出した。

研究対象期間中に、68,669人が91,188件(パンデミック前:43,504件、パンデミック中:47,684件)の診療を受けていた。受診者の平均年齢はパンデミック前が15.2±2.1歳、パンデミック中が15.3±2.1歳だった。スクリーニング実施率はパンデミック前の77.6%からパンデミック中の75.8%へやや低下していた〔PR 0.98、95%信頼区間(CI)0.90-1.60〕。

まず、スクリーニングで中等度〜重度の抑うつ症状ありと判定された者の割合は、パンデミック前の5.0%からパンデミック中に6.2%へと増加していた(PR 1.24、95%CI 1.15-1.34)。サブ解析では、男性のPR1.02(同0.89-1.67)に比べて女性が1.32(同1.24-1.42)と、女性のリスクが高まっていた(性別の交互作用のP値<0.001)。また、非ヒスパニック系の白人が1.29(同1.18-1.42)、非ヒスパニック系の黒人が1.24(同1.11-1.39)、その他の人種が1.24(同1.00-1.54)と、リスクが増加した人種/民族が見られた(人種/民族の交互作用のP値=0.02)。

次に、スクリーニングで自殺リスクありと判定された者の割合についても、パンデミック前では6.1%だったのに、パンデミック中は7.1%で、リスクの増加が見られた(PR 1.16、95%CI 1.08-1.26)。男性のPRは1.09(同0.99-1.19)だったが、女性は1.18(同1.11-1.26)であり、自殺についても女性のリスク増加が明らかだった(交互作用のP値=0.07)。その他の社会人口学的特性については、パンデミック前とパンデミック中で有意差は認められなかった。さらに、過去2週間で自殺念慮を抱いた者のPRは、男性は1.00(同0.86-1.17)だったのに対し、女性は1.34(同1.18-1.52)と34%の増加が認められた(交互作用のP値<0.001)。

著者らは、「この結果は、COVID-19のパンデミック中に、抑うつと自殺念慮のリスクが増加したことを示している。リスクの増加は、特に女性で顕著であり、また非ヒスパニック系の黒人および白人でも認められた。小児科医はこうした傾向を踏まえた上で、若年者の抑うつと自殺のスクリーニングを怠ることなく行って、リスクが高いと判断された者を治療へとつなげていくべきだ」と述べている。(HealthDay News 2021年7月28日)

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参考文献
  1. Mayne SL, et al. Pediatrics. Published online August 4, 2021. doi: 10.1542/peds.2021-051507
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