高所得国の精神障害を持つ小児の半数以上が精神保健サービスを受けず



提供元:AJ Advisers LLCヘルスデージャパン

高所得国においては、18歳以下の小児での精神障害全体の有病率は12.7%に上るが、これらの症状に対する精神保健サービスを受けている小児は44.2%に過ぎないことが、新たな研究で明らかにされた。サイモン・フレーザー大学(カナダ)のJenny Lou Baricanらによるこの研究は、「Evidence-Based Mental Health」に2021年7月19日掲載された1

Baricanらは、小児の精神障害の有病率に関する最新のデータを得るため、MEDLINEなどにより、1990年1月から2021年2月までの間に発表された、18歳以下の小児における精神障害の有病率を報告した疫学研究を収集し、システマティック・レビューとメタアナリシスを行った。研究結果が高所得国における施策策定に影響を与えることを期待して、世界銀行による分類で低・中所得国に当たる国で実施された研究は除外した。

基準を満たした研究は、米国(米国のみ4本)、オーストラリア、カナダ、チリ、デンマーク、英国、イスラエル、リトアニア、ノルウェー、韓国、台湾の11カ国で実施され、2003~2020年に公開された14研究から、4~18歳の小児61,545人分(女子51.2%)のデータを統合して解析を行った。このうち、精神障害を有する小児の精神保健サービス利用について報告した研究は8本あった。全てのデータは、COVID-19パンデミック以前に集められたものである。

これら14研究に対し、ランダム効果ロジスティックモデルを用いて、統合した有病率の推定値とその95%信頼区間(CI)を算出したところ、小児における精神障害全体の有病率は12.7%(95%CI 10.1~15.9%)となった。研究間の異質性は高かったが(I2=99.1%)、これには研究デザイン、診断の基準や方法、研究の行われた地域の違いなど、複数の要因が影響していることが、単変量メタ回帰分析により判明した。

個々の精神障害の統合有病率は、不安障害が5.2%(95%CI 3.2-8.2%)と最も高く、注意欠如・多動症(ADHD)3.7%(同2.3-5.7%)、反抗挑発症3.3%(同2.4-4.6%)、物質使用障害2.3%(同2.1-2.6%)、素行障害1.3%(0.8-2.3%)、大うつ病性障害1.3%(0.6-2.9%)、アルコール使用障害1.2%(同1.0-1.4%)がこれに続いた。しかし、これら症状がありながら、精神保健関連サービスを受けていた小児は44.2%(95%CI 37.6~50.9%、I2=95.5%)にとどまった。

著者らは、「本研究により、高所得国においては、小児の精神障害の有病率が高いこと、同時に精神保健サービスが容認できないほど不足していることが明らかになった。この不足の程度は、小児の人権を脅かすレベルだと言っても過言ではない。これは小児の精神保健における重大問題なのに、その姿は目には見えない。今回の結果はこれに焦点を当てるものであり、公的機関がこれを受け状況改善に向けて迅速に動くことを期待している」と述べている。(HealthDay News 2021年7月21日)

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参考文献
  1. Barican JL, et al. Evidence-Based Mental Health. Published online July 19, 2021. doi: 10.1136/ebmental-2021-300277
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