身体疾患を複数持つ人は、後年、抑うつや不安障害を発症するリスクが高い



提供元:AJ Advisers LLCヘルスデージャパン

身体疾患を2つ以上持つ人は、後年、抑うつや不安障害を発症するリスクが高いとする研究結果が、英キングス・カレッジ・ロンドン(KCL)のAmy Ronaldsonらにより、「The Lancet Regional Health - Europe」に2021年6月22日報告された1

この研究では、UKバイオバンクに登録された40~69歳の成人154,367人(年齢中央値57歳、四分位範囲50~62歳、女性56.5%、平均追跡期間7.6±0.87年)を対象に、中高年において、長期的な身体疾患が2つ以上ある状態と、一般的な精神疾患(common mental health disorder;CMD)である抑うつや不安障害との関連を検討した。

長期的な身体疾患については、ベースライン時(2006~2010年)に対象者の自己報告と入院データ(Hospital Episode Statistics;HES)を基に確認し、精神疾患などを除く合計36種類を対象として解析した。これに加え、探索的因子分析(EFA)により身体疾患を循環器代謝系疾患パターン(冠状動脈性心疾患、糖尿病、高血圧)、呼吸器系疾患パターン(喘息、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患)など5つに分類し、各パターンについて解析した。ベースライン時における抑うつや不安障害の有無は、自己報告、PHQ-2(Patient Health Questionnaire-2)およびHESにより判断した。追跡調査として2016年の時点で、抑うつと不安障害の有無を調べたが、それぞれPHQ-9(27点満点)とGAD-7(Generalized Anxiety Disorder -7、GAD-7、21点満点)を用い、どちらも10点以上を、抑うつあり、不安障害ありとした。ベースライン時における身体疾患やパターンと、追跡調査時における抑うつや不安障害との関連の分析には、多変量ロジスティック回帰モデルを用いた。

対象者のうち、43,838人(28.4%)は複数の長期身体疾患を有していた。疾患数が多い人には、年齢が高い、社会的困窮地域に住む、BMI値が高い、などの傾向が見られた。疾患数が0または1である群を1とした場合の、抑うつの新規発症の調整オッズ比(aOR)は、2疾患を有する群で1.41〔95%信頼区間(CI)1.32-1.53〕、3疾患群で1.94(同1.76-2.14)、4疾患群で2.38(同2.07-2.74)、5疾患以上を有する群で2.89(同2.42-3.45)であり(いずれもP<0.001)、併存する身体疾患の数が多いほど、追跡調査時までに新規に抑うつを発症するリスクが高かった。また、持続性の抑うつ(ベースライン時に抑うつ症状あり)についても、併存身体疾患数が多いほど追跡調査時に有症状であるリスクが高く、aORは2疾患で1.26(95%CI 1.14-1.40)、5疾患以上で2.21(同1.79-2.72)だった(いずれもP<0.001)。不安障害の新規発症*aと、持続性の不安障害*bにおいても、結果は同様だった。

次に5つの身体疾患パターン別に解析したところ、呼吸器系疾患がある場合のaORは、新規の抑うつで3.23(95%CI 2.44-4.27, p<0.001)、新規の不安障害で1.75(同1.15-2.66,p=0.009)、また疼痛/消化器系疾患がある場合は、新規の抑うつで2.19(同1.92-2.50, p<0.001)、新規の不安障害で1.90(同1.62-2.23, p<0.001)となり、呼吸器系疾患と疼痛/消化器系疾患は抑うつや不安の最も強い予測因子と考えられた。

共著者の一人は、「持っている身体疾患の種類が違うと、将来、抑うつや不安障害を発症するリスクが違ってくるという結果が得られた。この知見はどの患者がどんな支援を必要としているかを知るのに役立つと思われる。特定の身体疾患パターンが、抑うつや不安障害にどのように関連するのか、その機序を解明するためにはさらなる研究が必要だ。その機序が判明すれば、長期にわたる身体疾患をいくつも抱える人々に対して、より良いサポートや総合的なケアを提供できるよう、アプローチを改善できる可能性がある」と述べている。(HealthDay News 2021年7月2日)

 

注釈

*a
疾患数が0または1である群を1とした場合のaORは、2疾患を有する群で1.21(95%CI 1.11-1.33)、3疾患群で1.70(同1.51-1.91)、4疾患群で1.92(同1.60-2.30)、5疾患以上を有する群で2.31(同1.83-2.92、いずれもP<0.001)。

*b
疾患数が0または1である群を1とした場合のaORは、2疾患を有する群で1.31(95%CI 1.17-1.46)、3疾患群で1.53(同1.34-1.76)、4疾患群で1.75(同1.45-2.11)、5疾患以上を有する群で1.86(同1.50-2.31、いずれもP<0.001)。

 

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参考文献
  1. Ronaldson A, et al. The Lancet Regional Health: Europe. Published online June 22, 2021. doi: 10.1016/j.lanepe.2021.100149
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