PRISMは診断カテゴリーを横断する症状に光を当てる

PRISMプロジェクト1は、様々な疾患に共通する臨床的、行動的、画像的、遺伝的特徴を探索するための、学際的で定量的、かつ生物学に基づいた、そして何よりも診断横断的なアプローチの開発を目的としています。このプロジェクトは、EUの資金援助を受け、メンタルヘルス疾患に共通する生物学的基質を明らかにすることを目指しており、このアプローチが創薬を促進する知見を提供するという信念に基づき実施されています。

第一段階として、研究者は統合失調症、アルツハイマー病、大うつ病性障害(MDD)に強く関連する社会的引きこもりを生物学的に探求しています。結果は予備的なものですが、データからは社会機能障害が実際に共通した特徴として認められることが示唆されています。

さらに、Ilja Saris医師(オランダ・アムステルダム大学医療センター)が欧州神経精神薬理学会(ECNP)2020バーチャル会議(2020年9月12~15日開催)で提示したエビデンスでは、MDDにおける社会活動の減少が、デフォルトモードネットワーク、具体的には、前頭前皮質内側吻側部における機能的接続性の低下との関連などが示唆されています2

デフォルトモードネットワークにおける接続性の低下に関連する社会機能障害1

 

精神医学におけるパラダイムシフト

PRISMは精神医学を、症状の主観的評価に基づく不確実な診断から、生物学的理解と客観的に評価された行動に基づく診断へとシフトさせる広範な取り組み(研究領域基準[RDoC]アプローチ3を含む)の一環です。

客観的評価に関連して、受動的遠隔モニタリングのためのスマートフォンアプリ(BEHAPP)が開発されました。

PRISMシンポジウムで行われたMartien Kas教授(オランダ・フローニンゲン大学)のプレゼンテーションでは、BEHAPPが、電話やテキストメッセージの利用回数だけでなく、位置情報や社会的なやりとりの程度をどのようにして解析するかが説明されました4

患者(統合失調症患者を含む)の概日リズムや、患者と年齢を一致させた健康対照者との違いはすでに明らかになっています。研究者はスマートフォンアプリの位置データを用いて神経精神医学的表現型を評価するためのフレームワークを開発しています5

社交性には、統合失調症とMDDに共通する遺伝的要素があることを、バイオバンクデータが示唆しています。

「実世界の経時的情報が得られるデジタル技術から、患者が直接恩恵を受けることになる」とKas教授は述べています。同プロジェクトの明確な目的のひとつが、患者の行動上の変化を医療従事者や介護者に確実に伝える方法を開発し、よりタイムリーな介入を可能にすることです。PRISMプロジェクトは一般市民と患者の積極的関与が実現した取り組みだと言われています。

 

創薬のためのツール

PRISMは、齧歯類モデルを用いた研究および英国バイオバンクの30万人以上の参加者を対象とした大規模なゲノムワイド関連研究の両方で、社交性と探索行動の根底にある遺伝的要素についても探索しています。Hugh Marston博士(ドイツ・ビーバラッハ、ベーリンガーインゲルハイム社)が報告した研究では、既知および新規経路における遺伝子座(およびその潜在的な薬物標的)の関与が報告されています6

Marston博士によれば、PRISMで発見されるような診断横断的バイオマーカーをどのように今後開発が望める薬剤の審査過程に組み込めるかについて、PRISM研究者とEMA(欧州医薬品庁)との議論が開始されたということです。

Our correspondent’s highlights from the symposium are meant as a fair representation of the scientific content presented. The views and opinions expressed on this page do not necessarily reflect those of Lundbeck.

本コンテンツは、必ずしもECNPの見解を表すものではありません。

参考文献
  1. www.prism-project.eu (2020年12月8日閲覧)
  2. Saris IMJ et al. Scientific Reports 2020 Jan 13;10(1):194
  3. Insel T et al. Am J Psychiatry 2010;167:748-51
  4. Van der Wee NJA, et al. Neuroscience and Biobehav Rev 2019;38-46
  5. Jongs N et al. Transl Psychiatry 2020 Jul 1;10(1):211
  6. Bralten J et al. bioRxiv 2019; doi: https://doi.org/10.1101/781195(2020年10月30日閲覧)
Progress in Mind次のウェブサイトに移動します
Hello
Please confirm your email
We have just sent you an email, with a confirmation link.
Before you can gain full access - you need to confirm your email.
このサイトの情報は、医療関係者のみを対象に提供されています。
Congress
Register for access to Progress in Mind in your country