COVID-19患者の3人に1人が診断後6カ月以内に神経疾患や精神疾患を発症



提供元:AJ Advisers LLCヘルスデージャパン

新型コロナウイルスに感染した患者のおよそ3人に1人が、感染から6カ月の間に頭蓋内出血、虚血性脳卒中などの神経疾患や、気分障害、不安障害などの精神疾患を発症していることが、「The Lancet Psychiatry」2021年5月号に掲載された論文1で明らかにされた。

英オックスフォード大学のMaxime Taquetらは、米国を中心とする世界の医療機関の電子カルテデータを匿名化して収集しているTriNetX社のデータベースを用いて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の診断を受けた236,379人を対象に、診断後6カ月間における神経疾患や精神疾患の発生率を、2つの対照コホートとの比較で推定した。対照コホートは、1つは同時期にインフルエンザに罹患した患者105,579人、もう1つは同時期に他の呼吸器感染症(インフルエンザを含む)に罹患した患者236,038人で、傾向スコアを使用してCOVID-19患者とマッチさせた。対象とした神経疾患や精神疾患は、頭蓋内出血、虚血性脳卒中、パーキンソニズム、ギラン・バレー症候群、神経・神経根・神経叢障害、神経筋接合部・筋疾患、脳炎、認知症、精神障害・気分障害・不安障害(3つまとめてと個々に)、物質使用障害、不眠症の14種類である。各アウトカムの発生率はカプラン・マイヤー法で推算し、コホート間の比較にはログランク検定を用いた。ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)は、患者の属するコホートを独立変数として比例ハザードモデルに入れて算出し、比例ハザード性はシェーンフェルト残差を用いた。

COVID-19の診断後6カ月間での神経疾患または精神疾患の推定発生率は33.62%〔95%信頼区間(CI)33.17-34.07〕、つまりおよそ3人に1人であり、新規診断のみに限定すると12.84%(同12.36-13.33)であった。集中治療施設(ITU)に入院した患者での推定発生率は46.42%(同44.78-48.09%)であり、新規診断は25.79%(同23.50-28.25%)であった。

COVID-19コホートは、インフルエンザコホートと比べた場合の全診断のHRは1.44(95%CI 1.40-1.47)、いずれかの疾患の新規診断で1.78(同1.68-1.89)で、他の呼吸器感染症コホートと比べた場合の全診断のHRは1.16(同1.14-1.17)、新規診断で1.32(同1.27-1.36)であり、神経疾患や精神疾患が頻繁に生じていたことが判明した。ITUに入院したCOVID-19患者は、ITUに入院しなかった患者と比べた場合、全診断のHRは1.58(同1.50-1.67)、新規診断で2.87(同2.45-3.35)で、ハザード比はさらに高くなっていた。COVID-19コホートの個々の疾患のHRを算出したところ、インフルエンザコホートとの比較*aではパーキンソニズムとギラン・バレー症候群を除く全ての疾患で、その他の呼吸器感染症コホートとの比較*bでは全ての疾患で、COVID-19コホートのHRのほうが有意に高かった。

著者らは、「どんなメカニズムがこのような結果をもたらしたのかは、今回の研究で解明することはできない。これら神経疾患や精神疾患を予防し、治療するためには、そのメカニズムを解き明かす研究を直ちに始める必要がある」と述べている。

なお、著者の1人はTriNetX社の従業員であることを明らかにしている。(HealthDay News 2021年4月8日)

 

データの詳細
*a
(2つある場合は、全ての診断、新規診断の順)
頭蓋内出血2.44(1.89-3.16、P<0.0001)、2.53(1.68-3.79、P<0.0001)
虚血性脳卒中1.62(1.43-1.83、P<0.0001)、1.97(1.57-2.47、P<0.0001)
パーキンソニズム1.42(0.75-2.67、P=0.19)
ギラン・バレー症候群1.21(0.72-2.04、P=0.41)
神経・神経根・神経叢障害1.64(1.50-1.81、P<0.0001)
神経筋接合部・筋疾患5.28(3.71-7.53、P<0.0001)
脳炎1.70(1.04-2.78、P=0.028)
認知症2.33(1.77-3.07、P<0.0001)
精神障害・気分障害・不安障害(3つまとめて)1.46(1.42-1.50、P<0.0001)、1.81(1.69-1.94、P<0.0001)
気分障害1.47(1.42-1.53、P<0.0001)、1.79(1.64-1.95、P<0.0001)
不安障害1.45(1.40-1.49、P<0.0001)、1.78(1.66-1.91、P<0.0001)
精神障害2.03(1.78-2.31、P<0.0001)、2.14(1.62-2.88、P<0.0001)
物質使用障害1.27(1.22-1.33、P<0.0001)、1.22(1.09-1.37、P=0.0006)
睡眠障害1.48(1.38-1.57、P<0.0001)、1.92(1.72-2.15、P<0.0001)

 

*b
頭蓋内出血1.26(1.11-1.43、P=0.0003)、1.56(1.27-1.92、P<0.0001)
虚血性脳卒中1.45(1.36-1.55、P<0.0001)、1.63(1.44-1.85、P<0.0001)
パーキンソニズム1.45(1.36-1.55、P=0.020)
ギラン・バレー症候群2.06(1.43-2.96、P<0.0001)
神経・神経根・神経叢障害1.27(1.19-1.35、P<0.0001)
神経筋接合部・筋疾患4.52(3.65-5.59、P<0.0001)
脳炎1.41(1.03-1.92、P=0.028)
認知症1.71(1.50-1.95、P<0.0001)
精神障害・気分障害・不安障害(3つまとめて)1.20(1.18-1.23、P<0.0001)、1.48(1.42-1.55、P<0.0001)
気分障害1.23(1.20-1.26、P<0.0001)、1.41(1.33-1.50、P<0.0001)
不安障害1.17(1.15-1.20、P<0.0001)、1.48(1.42-1.55、P<0.0001)
精神障害1.66(1.53-1.81、P<0.0001)、1.82(1.53-2.16、P<0.0001)
物質使用障害1.09(1.05-1.12、P<0.0001)、0.92(0.86-0.99、P=0.033)
睡眠障害1.15(1.10-1.20、P<0.0001)、1.43(1.34^1.54、P<0.0001)

 

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参考文献
  1. Taquet M, et al. The Lancet Psychiatry 2021 May;8(5):416-427.
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