COVID-19パンデミック中は多くの人がメンタルヘルス不調となり孤独を抱えやすい

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの中で、英国の一般市民において、一般的なメンタルヘルス不調(以下、メンタル不調)や孤独感を有する割合が上昇したとする研究報告が、「Psychiatry Research」2020年6月30日オンライン版1に掲載された。

米スタンフォード大学のLambert Zixin Liと英ケンブリッジ大学のSenhu Wangらは、Understanding Society COVID-19 Studyの第一次調査に回答した総計15,530人の資料を英国民全体を代表する大規模データとして採用し、メンタル不調や孤独感を有する割合を調べた。孤独感の評価には、English Longitudinal Study on Ageing(ELSA)で使用された「過去4週間で孤独を感じた頻度はどのくらいですか」という質問を用い、「ほとんど、あるいは全くない」「時々」「しばしば」の3つの選択肢から一つ回答させた。メンタル不調の評価については、GHQ精神健康調査票12項目版(General Health Questionnaire-12;GHQ-12)を用いた。GHQ-12は抑うつや不安の症状、自信や幸福感など精神的な健康度を測るもので、12個の質問に対し、それぞれ「普段より少ない」「普段と変わらない」「普段より多い」「普段よりはるかに多い」の4つの選択肢から一つ回答させ、前の2つに0、後ろの2つに1の点を与えて、総スコア(0〜12)4以上をメンタル不調ありと判断した。

調査の結果、対象者全体のGHQ-12平均スコアは2.73〔標準偏差(SD)3.26)〕で、29.20%の人がメンタル不調ありと評価された(以下、GHQ-12平均スコアはtまたはF検定、メンタル不調ありの割合はχ2検定による)。COVID-19に関連した症状があった人または現在ある人は、なかった人に比べ、GHQ-12平均スコア〔4.89(4.06)、3.29(3.46) vs 2.63(3.21)〕も、メンタル不調ありの割合(順に54.50%、35.81% vs 27.99%)も、有意に高かった(いずれもP<0.001)。同様に、女性および若年成人(18〜30歳)は、それぞれ男性および31歳以上の成人と比べ、GHQ-12平均スコアもメンタル不調ありの割合も有意に高かった(いずれもP<0.001)2。一方、パートナーと同居している人および仕事のある人は、それぞれパートナーと同居していない人および仕事のない人と比べて、GHQ-12平均スコア(同居はP<0.0013、無職はP=0.0064)もメンタル不調ありの割合(両者ともP<0.001)5も有意に低かった。

孤独感については、対象者のうち、28.63%が「時々」、7.22%が「しばしば」孤独を感じていると回答した。メンタル不調の場合と同様、孤独を感じる頻度が有意に高かったのは、COVID-19に関連した症状があった人または現在ある人6と、女性7および若年成人8で、反対に、有意に低かったのはパートナーと同居している人9および仕事のある人10であった)(いずれもχ2検定でP<0.001)。さらに、メンタル不調についても孤独感についても、ロジスティック回帰などの多変量解析で同様の結果が得られた。

著者らは、「この研究により、COVID-19のパンデミック中に、多くの人が精神面での健康に問題を抱え、孤独を感じていることが明らかになった。特にそのリスクが高いのは、COVID-19に関連した症状を今まで経験した人、女性や若年成人であるが、その一方で、パートナーとの同居や仕事を持つことが保護的に働く因子となることが示唆された。軽度のメンタル不調は、公衆衛生政策において緊急性が低いとみなされがちであるが、メンタル不調に陥っている人たちの数は多いことから、無視してはならない問題である」と総括している。(HealthDay News 2020年7月20日)

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参考文献
  1. Zixin Li LZ, et al. Psychiatry Research. Published online June 30, 2020. doi: 10.1016/j.psychres.2020.113267
データの詳細
  1. <データ> GHQ-12平均スコア値(SD):女性3.22(3.42) vs男性2.05(2.89)、年齢群18-30歳3.71(3.60) vs 31-40歳3.37(3.59)、41-50歳2.86(3.28)、51-65歳2.61(3.25)、60歳以上群2.00(2.69)。メンタル不調ありの割合:女性35.07% vs 男性21.02%、年齢群18-30歳42.36% vs 31-40歳37.56%、41-50歳31.26%、51-65歳27.34%、60歳以上19.11%。
  2. <データ> 同居有り2.50 (3.11) vs 同居無し3.35 (3.57)
  3. <データ> 有職2.64 (3.32) vs 無職2.79(3.24)
  4. <データ> 同居有り26.31% vs 無し36.81%。有職27.17% vs 無職30.47%
  5. <データ> 時々:症状なし28.14% vs 過去に症状あり31.83%、現在あり34.50%; しばしば:症状なし6.79% vs 過去に症状あり9.17%、現在あり20.00%。
  6. <データ> 時々:女性33.37% vs 男性22.04%、しばしば:女性9.08% vs 男性4.64%
  7. <データ> 時々:年齢群18-30歳44.99% vs 31-40歳35.13%、41-50歳28.63%、51-65歳24.22%、60歳以上22.41%;しばしば:18-30歳16.01% vs 31-40歳9.12%、41-50歳6.09%、51-65歳6.06%、60歳以上4.11%
  8. <データ> 時々:同居有り23.64% vs 無し41.77%;しばしば:同居有り23.96% vs同居無し15.81%。
  9. <データ> 時々: 有職29.82% vs 26.73%;しばしば: 有職6.63% vs 無職8.18%
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