COVID-19パンデミック中の重度・中等度抑うつ症状のリスク因子を特定

社会経済的地位(SEP)が低いこと、また身体・精神疾患の既往などのリスク因子を有する成人は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック中に、中等度または重度の抑うつ症状を抱えるリスクが高いとする研究結果が、「JAMA Network Open」に2020年10月26日掲載された1

この研究は、英国に居住している18歳以上の成人を対象に実施中の大規模パネル調査「COVID-19 Social Study」の一部として、英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)のEleonora Iobらが実施したもの。パンデミック中である2020年3月21日から5月4日の間にスノーボールサンプリングなど3つの手法を用いて募集し抽出した51,417人〔平均年齢48.8歳、女性51.1%(26,276人)〕を対象とし、抑うつ症状の重症度や関連すると思われる因子につき、3月21日から4月2日の間に7回調査した。

抑うつ症状の評価には、プライマリケアにおける精神疾患診断・評価尺度である9-item Patient Health Questionnaire(PHQ-9)を用いた。PHQ-9は、抑うつ症状とその発症頻度に関する9つの質問に対して4段階のリッカート尺度で回答するもので、スコアの総計(0〜27点)が高いほど抑うつ症状が重い。加えて、糖尿病や高血圧、がんなどの身体疾患や、うつ病や不安などの精神疾患の診断歴の有無、さらには、直近1週間における、身体的・心理的な虐待の経験や社会的支援についても回答を求めた。人種/民族(白人かそれ以外かで二分)、SEP、エッセンシャルワーカー(ヘルスケア、社会福祉、教育、保育、主要公共サービス関連の従事者)か否かについても確認した。

その結果、対象者の12.0%(6,145人)は黒人、アジア人、マイノリティ人種/民族で、33.3%(17,143人)はSEPが下位4分の1群に属するレベルであり、22.1%(11,342人)が医療や福祉、教育などの分野で働くエッセンシャルワーカーであった。潜在成長モデルにより抑うつ症状の重症度から分けた3群〔軽度60.0%(30,850人)、中等度29.0%(14,911人)、重度11.0%(5,656人)〕のスコアの経時変化を見たところ、期間中はいずれの群も大きな変化はなかった。次に、多変量ロジスティック解析により、年齢、性別、COVID-19の診断または疑いの有無を調整して、各リスク因子と抑うつ的症状の重症度との関連を検討した。その結果、中等度、または重度の抑うつ症状とそれぞれ統計的に有意に関連していたのは、身体的または心理的虐待〔中等度:オッズ比(OR)5.34、95%信頼区間(CI)5.15〜5.54、P<0.001、重度:同13.16、12.95〜13.37、P<0.001〕、精神疾患の既往(中等度:同4.24、4.24〜4.24、P<0.001、重度:同12.99、12.87〜13.10、P<0.001)、身体疾患の既往(中等度:同1.89、1.79〜1.98、P<0.001、重度:同3.41、3.29〜3.54、P<0.001)、社会的支援の低さ(中等度:同4.71、4.60〜4.82、P<0.001、重度:同12.72、12.58〜12.86、P<0.001)、SEPの低さ(中等度:同1.97、1.87〜2.08、P<0.001、重度:同5.22、5.08〜5.36、P<0.001)であった。

エッセンシャルワーカーが重度の抑うつ症状を有するリスクは、その他の仕事をしている対象者より有意に低かった(OR 0.66、95%CI 0.53〜0.80、P<0.001)。また、人種/民族と抑うつ症状の間については、有意な関連は認められなかった。

著者らは、「今回の研究で、身体・精神疾患の既往やいじめの経験などのリスク因子があると、重い抑うつ症状を抱えるリスクが高くなること、一方でエッセンシャルワーカーやマイノリティの人々のリスクはさほど高くはないことも分かった。この結果からすると、取るべき重点施策として考えられるのは、リスクの高い患者を特定して、必要としている人々が精神保健サービスを利用できるよう、その配分を見直し、うつ症状を軽減するための科学的エビデンスに基づく治療を提供するということであろう」と結論付けている。(HealthDay News 2020年10月27日)

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参考文献
  1. Iob E, et al. JAMA Network Open. Published online October 26, 2020.
    doi: 10.1001/jamanetworkopen.2020.26064
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