COVID-19パンデミック中の米国、遠隔心理診療(心理療法・カウンセリング)の割合が12倍以上に増加

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック中の米国では、患者の心理診療を遠隔で行う(Telepsychology)割合が12倍以上に増加し、その割合は、パンデミック終息後においても、パンデミック中ほどではないにせよ、パンデミック前よりは多くなる見込みであることが、米Virginia Commonwealth大学のBradford S. Pierceらによる研究で明らかにされた。詳細は、「American Psychologist」2020年8月20日オンライン版1に掲載された。

研究チームは、COVID-19のパンデミック前とパンデミック中の遠隔心理診療の実施状況や、パンデミック終息後の見通しを調べるために、遠隔診療を行っている可能性のある心理士27,324人にeメールを送り、調査への参加協力を呼び掛けた。参加条件は、米国の心理士としての資格を持ち、現在、米国内で心理士として診療を行っている、18歳以上の心理士である。最終的に2,619人が解析対象となった(有効回答率11.18%、平均年齢57.29歳、男性35.4%、女性64.2%、1.2%はトランスジェンダーなどと回答)。遠隔心理診療は、電話などのリアルタイム音声および/またはビデオ会議の手法を用いた診療と定義した。パンデミック前、中および終息後(見込み)のそれぞれについて、診療全体に占める遠隔診療の割合を0%~100%の範囲で回答させ、また遠隔診療の習熟度および所属施設の遠隔診療への支援体制の充実度を7段階(リッカート・スケール)で評価させた。

時期(パンデミック前、パンデミック中、パンデミック後の見込み)を予測変数、遠隔診療の割合を目的変数として反復測定分散分析を行った結果、時期の効果量は統計的に有意であった〔F(2, 2617)=8254.01、P<0.001、イータ2乗 0.863、非常に大きな効果量〕。診療全体に占める遠隔診療の割合は、パンデミック前は7.07%〔標準偏差(SD)14.86〕、パンデミック中は85.53%(SD=29.24)、パンデミック終息後の見込みは34.96%(SD=28.35)であり、パンデミック前に比べてパンデミック中に、遠隔診療の割合が12倍以上に増加したことが明らかになった。パンデミック前と比べてパンデミック中に増加した遠隔診療の割合を医療機関の種類別に見ると、外来診療施設で26倍強(3.17%→84.65%)、大学医療施設で23倍強(3.59%→85.65%)の増加であったのに対し、退役軍人医療センターでの増加は7倍強(11.28%→80.65%)に留まった。

次に、対象となった心理士の個人的属性や遠隔診療の習熟度などの要因<1>が、パンデミック中の遠隔診療実施に対して影響を与えたかを調べた(重回帰分析、パンデミック前と比較)。その結果、「女性の心理士」という要因があると、遠隔診療の割合は「女性以外」より5.8%増加した(SE=1.277、P<0.001)。また、「地方の施設」という要因があると、「都市部や郊外の施設」より4.1%減少した(SE=2.043、P=0.046)。また、遠隔診療の習熟度および所属施設の遠隔診療支援体制の充実度に対する評価が1ポイント増加するごとに、遠隔診療の割合はそれぞれ3.3%(SE=0.370、P<0.001)および1.6%(SE=0.320、P<0.001)増加した。

同様に重回帰分析により、扱った疾患の種類<2>がパンデミック中の遠隔診療実施に対して与えた影響を調べた結果、割合の増加が少なかったのは順に、反社会性パーソナリティ障害の治療に当たる心理士、検査・評価を担当する心理士、物理療法・リハビリテーションに当たる心理士であり、反対に、多かったのは順に、対人関係問題、不安、女性が抱える問題を扱う心理士であった。

著者らは、「今回の研究により、米国における遠隔診療の割合は、COVID-19のパンデミック中に激増したことが明らかになった。ただし、心理士が遠隔診療を実施できるかどうかは、個人の属性や、臨床の場におけるさまざまな条件に左右されるようだ」と結論付けている。(HealthDay News 2020年9月11日)

 

注釈
<1>検討された要因:年齢、女性(の心理士)、白人(の心理士)、遠隔心理診療ポリシーの支援体制がある、遠隔心理診療の習熟度が高い、地方の施設。

<2>検討された要因:年齢、女性(の心理士)、白人(の心理士)、遠隔心理診療ポリシーの支援体制がある、遠隔心理診療の習熟度が高い、地方の施設。

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参考文献
  1. Pierce PB, et al. American Psychologist. Published online August 20, 2020. doi: 10.1037/amp0000722
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