COVID-19パンデミックの間に若年者の不安が倍増

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック中に、若年者では、パンデミック前と比べて不安が増大し、精神的ウェルビーイング(健康度)が悪化した、とする研究結果を、英ブリストル大学のAlex S.F. Kwongらが「British Journal of Psychiatry」2020年11月24日号に報告した1

Kwongらは、2件のコホート研究のデータを利用し、COVID-19パンデミックの発生前とパンデミック中における英国人の抑うつ、不安、精神的ウェルビーイングについて定量的な検討を行った。その研究の1つは、現在も継続中のAvon Longitudinal Study of Parents and Children(ALSPAC)で、出産予定日が1991年4月1日〜1992年12月31日の間であった母親3,720人(ALSPAC-parents群)と、その子ども2,973人(ALSPAC-young群)を対象に用いた。もう1つは、スコットランドに居住する18歳以上の人を対象にした縦断研究のGeneration Scotland(GS)で、4,233人(GS群)を対象に用いた。対象者には、COVID-19パンデミックによる影響やその結果に関するオンライン調査への回答を求めた(調査は、ALSPACでは2020年4月9日〜5月14日、GSでは4月17日〜5月17日に実施)。

抑うつについては、ALSPACではShort Mood and Feelings Questionnaire(SMFQ、0〜26点、11点以上で「ほぼ確実なうつ病(probable depression)」)、GSではPatient Health Questionnaire(PHQ-9、0〜27点、10点以上でほぼ確実なうつ病)でスコア化した。不安と精神的ウェルビーイングについては、いずれの群もそれぞれ、Generalised Anxiety Disorder Assessment-7(GAD-7、0〜21点、10点以上で「ほぼ確実な不安障害(probable anxiety disorder)」)とShort Warwick-Edinburgh Mental Wellbeing Scale(SWEMWBS、7〜35点、17点以下で「精神的ウェルビーイングが不良」)でスコア化した。

最終的な解析対象者数は、ALSPAC-parents群で3,579人(平均年齢58.67±4.82歳)、ALSPAC-young群で2,872人(平均年齢27.61±0.54歳)、GS群で4,208人(平均年齢59.24±12.03歳)であった。

ほぼ確実なうつ病を有する割合は、ALSPAC群でもGS群でも、若年成人(18〜40歳)で最も高かった。ほぼ確実な不安を有する割合や精神的ウェルビーイングが不良である割合についても、同様の結果であった。

ALSPAC-young群では、COVID-19パンデミック中にほぼ確実なうつ病を有すると判定された者の割合は、パンデミック前よりも減少していた〔18.14%(95%信頼区間16.76〜19.61%)対24.35%(同23.04〜26.70%)〕。逆に、パンデミック中にほぼ確実な不安障害を有すると判定された者の割合は、パンデミック前と比べてほぼ2倍に上昇しており〔24.35%(同22.81〜25.96%)対12.97%(同11.87〜14.15%)〕、同様に、精神的ウェルビーイングが不良と判定された者の割合も増加していた〔13.27%(同12.07〜14.15%)対7.59%(同6.82〜8.43%)〕。

回帰モデルにパンデミック前の抑うつと不安の結果を変数として取り入れた上で、パンデミック前とパンデミック中の諸因子が、パンデミック中の抑うつと不安に関与する程度を検討したところ、ALSPAC群でもGS群でも、若年者、女性、精神的問題を抱える者(大うつ病性障害や全般性不安障害の既往、否定的な認知スタイル、精神疾患様症状など)、パンデミック以前から肥満や経済的に苦境であった者などにおいて、パンデミック中の抑うつと不安が高い傾向が示された。

著者らは、「抑うつと不安の状態は、その他の不具合とともに、綿密にチェックされ続けるべきだ。それにより、今回のパンデミックが長いスパンのうちにどのような影響を及ぼしていくのかが分かってくるだろうし、今後の施策が精神と身体双方の健康の保全を視野に入れることを後押しするための一助にもなるだろう」と述べている。

なお、1人の著者が、Roche Diagnostics社およびMedtronic社との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2020年12月2日)

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参考文献
  1. Kwong ASF, et al. British Journal of Psychiatry 2020 November 24;1-27.
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