COVID-19による不妊治療の中断はメンタルヘルス悪化とQOL低下を招く

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックが原因で不妊治療を中断された場合、その女性のメンタルヘルスと生活の質(QOL)が相当な悪影響を被るという研究結果が、「PLOS ONE」2020年9月18日オンライン版1に掲載された。

レジーナ大学(カナダ)のJennifer L. GordonとAshley A. Balsomは、2020年4月26日〜6月13日にFacebookに本調査の宣伝を掲載して参加希望者を募り、研究チームが参加者としての適格性を評価した上で対象となり得る女性にパスワードを交付し、オンライン調査を実施した。本調査で最終的に対象となったのは、COVID-19パンデミックにより不妊治療が中断されたカナダと米国の女性92人(20〜45歳、平均34.2歳)で、年齢・人種などの属性や不妊治療歴(体外受精54%、人工授精35%など)を確認した上で、うつ病の診断に用いられるPatient Health Questionnaire-9(PHQ-9)の質問票や、コーピング(社会的な支援の程度、対処的悲観主義・楽観主義的態度、回避的態度などを含む)などに関するさまざま質問に対する回答を得た。QOLは、現在および治療中断の前月について、「総合的に考えて、あなたのQOLは、次の7段階のどれになりますか」と質問し、1「とても悲惨;これ以上悪くなりようがない」、4「まずまず;良くも悪くもない」、7「素晴らしい;これ以上、良い状態は想像できない」の7段階のスケールで回答させた。不妊治療中断がメンタルヘルスに与えた影響は、−5(非常にネガティブな影響を与えた)から+5(非常にポジティブな影響を与えた)までのスケールで回答を得た。

その結果、PHQ-9のスコアが、臨床的にうつ病と判断されるカットオフ値である10を上回っていた者は、52%に及んだ。Wilcoxonの符号順位検定の結果、QOLのスケールの変化は平均−1.3(標準偏差1.3, S(88) = -1221、P<0.0001)で、不妊治療中断によるメンタルヘルスのスケールの変化も-3.0(同2.1、S(86)= -1481、P<0.001)と、いずれの低下も有意であった。また、コーピングについてSpearmanの順位相関で分析したところ、QOLや、不妊治療中断によるメンタルヘルスが良好になる要因として挙げられたのは、対処的悲観主義の程度がより軽いこと(r=−0.25、P<0.05)、不妊を受け入れる態度を取っていること(r=0.51、P<0.0001)、社会的支援が有効と感じていること(r=0.31、P<0.01)、社会的支援がもっと多く欲しいという姿勢が強いこと(r=0.35、P<0.001)、不妊に関して回避的な態度を取らないこと(r=−0.23、P<0.05)であった。

著者らは、「今回の研究から、COVID-19パンデミックが原因で不妊治療を中断されたことにより、治療を受けていた女性のメンタルヘルスとQOLが大きく損なわれたことが明らかになった。こうした女性たちに対しては、メンタルヘルスの面へのさまざまな支援をもっと行う必要がある」と結論付けている。(HealthDay News 2020年9月25日)

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参考文献
  1. Gordon JL, et al. PLOS ONE. Published online September 18, 2020.
    doi: 10.1371/journal.pone.0239253
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