音声分析で精神疾患の病状変化が把握可能か



提供元:AJ Advisers LLCヘルスデージャパン

精神疾患の患者の病状は、経過とともに変化し得る。しかし、重度の精神疾患患者に音声サンプルを収集するシステムを用いることで、病状変化を把握することが可能であるとする研究結果が、「PLOS ONE」2020年1月15日オンライン版1に発表された。

この研究は、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のArmen C. Arevian氏らが、1カ所の地域を基盤にしたメンタルクリニックで治療を受けている重度の精神疾患患者(18歳以上)47例を対象として行ったものである。患者は、双極性障害、大うつ病性障害、統合失調症、統合失調感情障害のいずれかの診断を受けていた。

研究チームは、電話の自動音声応答システムを患者に使用してもらい、音声サンプルを収集した。患者のことを知るケースマネジャー(総計13人)が、このサンプルを1回ごとにレビューし、患者の状態を1~10点で評価した。また、その音声サンプルから、肯定的・否定的な感情の語彙、複雑さ、一貫性などの特徴を指標として抽出した。

この音声サンプルの特徴から、1通話ごとに患者の状態を評価するような機械学習モデルの構築を試みた。「集団データ」モデルでは、ある患者一人を除く全ての患者から得られたデータによってモデルを学習させた後、除外した患者の病状を評価させた。また、「個別データ」モデルでは、ある一人の患者のある通話1回分の評価を、その患者の残り全ての通話データを用いて評価するように学習させた。このような、音声特徴による患者の病状の評価モデルによって計算された病状の点数と、実際の病状スケールとの相関により、これらのモデルの精度を評価した。

本研究は期間無制限の初期フェーズ(最終的には最長18カ月、平均12カ月)(6例の患者)とそれに続く16週間の主要フェーズ(41例の患者)から成り、後者における患者の参加週は平均14.7週、電話をかけた回数は平均19.7回、得られた音声サンプルの総数は1,101件であった。試験終了後、患者の92%が「自動音声システムは使いやすい」と回答した。

個別データで学習したモデルによって予測された病状評価は、実際のケースマネジャーによる病状評価と高い相関を示した(スピアマンの相関係数0.78、P<0.001[ベースラインモデルとの比較による2-tailed t-testで算出])。集団ベースのデータで学習したモデルによる予測データと実際のデータの間で統計学的に有意な相関が見られたのは、ケースマネジャーによる評点(同0.44、P<.001)、ケースマネジャーが行う評価が今後どうなるかの予測(同0.33、P<0.05;モデルにより将来予測が可能かという観点から)、(症状の)重症度評価としての24項目から成るBehavior And Symptom Identification Scale(BASIS 24;[症状の]重症度評価;サブスコアは6つ)の要約スコア、うつ病サブスコア、自傷行為サブスコア(それぞれ同0.25、0.25、0.28、P<0.05)、およびShort Form Health Survey(SF-12;機能評価)のメンタルヘルスサブスコア(同0.25、P<0.05)においてであった。BASIS 24の残り4つのサブスコアおよびSF-12の身体的健康サブスコアにおける予測データと実際のデータでの相関は見られなかった。

研究チームは「今回の結果に鑑み、行動の客観的なデータを治療・ケアに組み込む手法をぜひ取り入れるべきだ。そうすることで、個々の患者にとって実用的な取り組みが促され、ケアが改善され、また個々の患者の病状に対する治療者側の理解も深まるだろう」と結論付けている。(HealthDay News 2020年1月29日)

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参考文献

1. Arevian AC, et al. PLOS One, Published online January 15, 2020. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0225695 (202048日閲覧)

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