脳fMRIは強迫性障害の治療方針の選択に有用か?



提供元:AJ Advisers LLCヘルスデージャパン

強迫性障害(OCD)を有する10代および成人の患者に対する機能的磁気共鳴画像法(fMRI)による脳スキャンの結果に基づいて有効な治療方針を選択できる可能性があることが、「The American Journal of Psychiatry」2020年8月28日オンライン版に掲載された論文1で明らかにされた。

米ミシガン大学のLuke J. Norman氏らは、OCDを有する10代青年および成人の脳の活動と認知行動療法(CBT)の治療効果との関連を検討し、さらにこの関連が、心理療法であるストレス管理療法(SMT)と比較してCBTに特異的なものであるかについて検討した。対象とした87例のOCD患者(年齢12~45歳、女性57例、薬物療法を受けていた患者39例)を、CBT群またはSMT群に無作為に割り付けた(治療は12週間継続)。治療前の段階で、対象者がフランカー課題(認知コントロールと報酬系の処理が行われているときの脳の活性化を測定するための課題)を行っている最中にfMRIによる脳スキャンを実施し、認知コントロールおよび報酬系の処理に対する脳の各部位における活性化の様子を調べた。解析では、治療週数1、6、12週にわたって得られたYale-Brown Obsessive Compulsive Scale(Y-BOCS;標準版または小児版)のスコアとボクセル(:脳の立体体積単位。「ピクセル」からの造語。)の活性化との関連を、治療群ごとに検討した(年齢層、および薬物療法の有無を調整した、線形混合モデルを用いたボクセル単位毎の解析)。

その結果、治療前に認知コントロールを行っているときの右側頭葉、吻側前帯状回および左前運動皮質の活性が高いことはCBTによる良好な治療効果と有意に関連し、逆にこれらの脳領域の活性が低いことはSMTによる良好な治療効果と有意に関連していた*。さらに、報酬系の処理を行っているときの腹内側前頭前皮質、眼窩前頭皮質、扁桃体、下前頭回および背外側前頭前皮質を統合した活性が高いことはCBTの良好な治療効果と有意に関連し(B=-3.91、P<0.001)、逆にこれらの脳領域を統合した活性が低いことはSMTによる良好な治療効果と有意に関連していた(B=5.62、p<0.001)。

著者らは、「脳の各部位の活性と治療効果との関連は、CBTとSMTで異なっていた。今回の結果はOCD患者の個別化医療のためのバイオマーカーの開発に寄与するものと思われ、実現につながると期待される」と結論付けている。
(HealthDay News 2020年9月2日)

 

注釈
*右側頭葉:CBT群のB=-3.96、P=0.003;SMT群のB=5.09、P<0.001、吻側前帯状回:CBTのB=-2.68、P=0.004;SMTのB=2.94、P=0.01、左前運動皮質:CBTのB=-2.91、P=0.002;SMTのB=3.61、P=0.008)

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参考文献
  1. Norman LJ, et al. The American Journal of Psychiatry. Published online August 28, 2020. doi: 10.1176/appi.ajp.2020.19080886
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