精神障害はCOVID-19による死亡リスクの上昇に関与
提供元:AJ Advisers LLCヘルスデージャパン
精神障害を有する者では、精神障害がない者に比べて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡リスクが高いことが、「JAMA Psychiatry」に2021年7月27日発表されたレビュー1で明らかになった。
エクス・マルセイユ大学(フランス)のGuillaume Fondらは、精神障害とCOVID-19との関連を検討した研究論文を対象に、システマティックレビューとメタアナリシスを実施。精神障害の有無でCOVID-19による死亡リスクを比較検討した。分析にはランダム効果モデルを用いて、精神障害を有する場合のCOVID-19による死亡の、統合した粗オッズ比(OR)と調整OR、およびそれぞれの95%信頼区間(CI)を算出した。また、研究間の異質性についても、CochranのQ検定とI2検定で評価を行った。
基準を満たした研究は世界7カ国で実施された16件(デンマーク1件、フランス2件、イスラエル1件、韓国3件、スペイン1件、英国1件、米国7件)で、精神障害を有する者19,086人が対象であった。これらの研究は2019年12月から2020年7月の間に実施されたもので、Newcastle-Ottawa Scale(NOS)による評価ではいずれも質が高く、またファンネルプロットで出版バイアスは確認されなかった(Egger検定、P>0.05)。
精神障害がない者と比べ、有する者では、COVID-19の死亡リスクの増加が見られ、統合した粗ORは1.75(95%CI 1.40-2.19、P<0.001、I2=26.1%)、調整ORは1.38(同1.15-1.65、P<0.05、I2=0%)であった。さらに、重度の精神障害(統合失調症スペクトラム障害、双極性障害)患者を対象にした研究結果を統合したところ、粗ORは2.26(同1.18-4.31、P<0.001、I2=55.5%)、調整ORは1.67(同1.02-2.73、P=0.04、I2=27.3%)と、リスクはさらに上昇していた。
著者らは、「この研究により、精神障害はCOVID-19による死亡リスクの上昇と関連していたことが明らかになった。精神障害を有する患者は、COVID-19重症化の恐れがあるハイリスク集団として、感染予防および疾患管理を徹底して行う必要がある」と述べている。(HealthDay News 2021年7月28日)
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