米国でCOVID-19感染者・死者の増加に伴い急性ストレス反応も抑うつ症状も増加

米国人を代表する大規模パネルを用いた調査から、米国では、2020年3~4月の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大期における感染者と死者の増加に伴い、急性ストレス反応と抑うつ症状を抱える人が大幅に増加したことが明らかになった。同時にこれらには、精神疾患や身体疾患の診断歴やCOVID-19関連のメディアへの曝露が関連することも判明した。詳細は、「Science Advances」2020年9月18日オンライン版1に掲載されている。

米カリフォルニア大学アーバイン校Sue&Bill Gross School of NursingのE.Alison Holmanらは、米シカゴ大学の世論調査センターNORCが運営する確率ベースのパネルAmeriSpeakを利用して、総計1万1,139人を抽出し、これを3,713人ずつ3つのコホートに分けた。コホート1は3月18日~28日、コホート2は3月29日~4月7日、コホート3は4月8日~18日に、それぞれ10日ずつ調査を実施した。それぞれの期間におけるCOVID-19陽性者数は9,415、12万4,763、40万1,166、死亡数は約190、3,500、1万8,300で、どちらも時期を追うごとに増加していた。

調査は20分間で、急性ストレス反応と抑うつ症状、およびCOVID-19への曝露(個人的、職場での、地域での、メディア視聴による)や二次的ストレッサー(失業など)について尋ねた。急性ストレス反応は、修正版Acute Stress Disorder Scale 5を用いて、直近1週間に経験した10項目の兆候について1(全くない)〜5(大いにある)の5段階で評価した。抑うつ症状は、Brief Symptom Inventory-18を用いて、直近1週間に経験した6項目の兆候について、0(全くない)〜4(大いにある)の5段階で評価した。調査を完了したのは6,598人だったが、データ欠損例などを除外し、最終的に6,514人(コホート1、2、3の順にそれぞれ、2,122人、2,234人、2,158人、年齢中央値47.50歳、女性51.9%)を解析対象とした。対象者は、米国で2020年1月以前、つまりCOVID-19アウトブレイクの発生前に、精神面と身体面の健康についての評価を受けていた。

その結果、急性ストレス反応はコホート1、2、3の順に高くなり、かつコホート間に有意差があった(コホート1vs2はP<0.01、2vs3はP<0.05、1vs3はP<0.001)、抑うつ症状もコホート1、2、3の順に高くなり、1vs3でP<0.001、2vs3でP<0.01と有意差を認めた。

次に、重回帰分析(最小二乗法)により急性ストレス反応と抑うつ症状の予測因子を検討した結果、両者に有意に関連していたのは、アウトブレイク前の精神疾患(それぞれβ=0.18、β=0.27、いずれもP<0.001)と身体疾患(それぞれβ=0.06、P<0.01、β=0.08、P<0.001)の診断歴であった。さらに、個人的属性およびアウトブレイク前の精神疾患・身体疾患診断歴を調整した上で、COVID-19への種々の曝露が、急性ストレス反応と抑うつ症状の予測因子となるかについて検討したところ、個人的曝露(自分自身または身近な人のCOVID-19の症状出現や診断など)(β=0.09、β=0.11、いずれもP<0.001)および二次的ストレッサー(β=0.19、β=0.12、いずれもP<0.001)は有意に関連していた一方で、地域での曝露(外出自粛や学校閉鎖など)は有意な関連を示さなかった(β=0.00、β=−0.01)。ところが、メディア視聴は、いくつかの指標を用いて検討したところ、強度の急性ストレス反応と抑うつ症状に対する有意な予測因子であると考えられた〔1日当たりのメディア視聴時間(β=0.15、β=0.13、いずれもP<0.001)、アウトブレイク前と比べたメディア視聴時間の増加(β=0.12、P<0.001、β=0.04、P<0.05)、相矛盾する情報への高頻度の遭遇(β=0.17、β=0.09、いずれもP<0.001)〕。

著者らは、「米国人を代表する大規模サンプルを用いた今回の調査から、失業などの二次的ストレッサーやメディア視聴、メディアにおける相矛盾する情報は、強い急性ストレス反応と抑うつ症状に関与していることが判明した。公衆衛生的な見地から、肝要な対処法として、一般大衆に対し、メディア視聴を制限することを奨励する。これにより、精神・身体の健康上の問題発生を抑止し、またレジリエンスを高めることができると考える」と述べている。(HealthDay News 2020年9月21日)

Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.

※本コーナーの情報は、AJ Advisers LLCヘルスデージャパン提供の情報を元に掲載しており、著作権法により保護されております。個人的な利用以外の目的に使用すること等は禁止されていますのでご注意ください。

参考文献
  1. Holman EA, et al. Science Advances. Published online September 23, 2020. doi: 10.1126/sciadv.abd5390
Progress in Mind次のウェブサイトに移動します
Hello
Please confirm your email
We have just sent you an email, with a confirmation link.
Before you can gain full access - you need to confirm your email.
このサイトの情報は、医療関係者のみを対象に提供されています。
Congress
Register for access to Progress in Mind in your country