社会不安障害の若年者に対するインターネット認知行動療法は有効で費用対効果も高い



提供元:AJ Advisers LLCヘルスデージャパン

インターネットを用いた認知行動療法(ICBT)は、社会不安障害(SAD)の若年者(10₋17歳)に対して有効かつ費用対効果の高い治療法であることが、「JAMA Psychiatry」に5月12日掲載された論文1で明らかにされた。

カロリンスカ研究所(スウェーデン)のMartina Nordhらは、若年者のSAD患者に対する治療法として、治療者がガイドするICBTの有効性と費用対効果を、治療者がガイドするインターネット支持療法(ISUPPORT)と比較するため、単盲検優越性検証無作為化比較試験を実施した。ICBTでもISSUPORTでも、治療者による非同時性のサポート(例:ワークシートへのコメント)、治療者とのビデオ通話、オンライン用のテキスト教材やビデオ教材などを用いた課題の遂行などを行った。ICBTでは社会状況への段階的曝露、社会技能訓練、安全行動や逃避行動を減らすことなどが、ISUPPORTでは運動などの健康習慣や対人関係の重要性などが、それぞれ主な構成要素となっていた。どちらもSADについての心理教育を行ったが、ISSUPORTではさらに、対象者が困難な社会的状況に対処するための戦略を考えて実行し、それが役に立つと感じた場合には続けて行うように、治療者が励ました。対象者は、主診断名がSADである、10〜17歳の若年者103人〔平均年齢14.1歳、標準偏差(SD)2.1歳、女性77%(79人)〕であった。

対象者は、ICBT治療群(51人)、またはISUPPORT治療群(52人)のいずれかにランダムに割り付けられ、それぞれ10週間に及ぶ治療を受けた。訓練を受けた心理士が、治療前(ベースライン)、10週間の治療終了時、治療終了から3カ月後(開始後22週)のフォローアップ時の計3回にわたり、対象者とその親に対してAnxiety Disorders Interview Schedule, Child Version(ADIS-C)による評価を実施し、現在の不安障害やその他のDSM-5に準じた精神障害の有無を確認した。SADの重症度は、ADIS-Cから算出されるClinician Severity Rating(CSR)スコアにより評価した。CSRは0点から8点までの9段階評価尺度で、4点以上を「事例性(caseness)」とする。

ベースラインおよびフォローアップ時の平均CSRスコアは、ISUPPORT治療群で4.94点(SD0.94)と4.48点(同1.30)であったのに対し、ICBT治療群は5.06点(同0.95)と3.96点(同1.46)であり、治療終了から3カ月時点でのSADの重症度を軽減する上で、ICBTはISUPPORTよりも有効であった〔効果量のd=0.67、95%信頼区間(CI)0.21~1.12〕。

また、線形混合モデルを用いた分析では、CSRスコアに関して、治療群と時間の有意な交互作用が観察された〔β=−0.27、標準誤差(SE)0.09、P=0.005〕。副次的評価項目で有意差が認められなかったのは、患者自身が評価したQOL(Child Health Utility 9D;β=−0.58、SE 0.51、P=0.26)のみであって、残る項目は全て、すなわちSADの臨床症状評価尺度であるLSAS(Liebowitz Social Anxiety Scale)スコア(患者による評価:β=−6.99、SE 2.06、P=0.001、親による評価:β=−8.72、SE2.13、P<0.001)、患者の報告による抑うつ症状(β=−0.58、SE 0.25、P=0.02)、親の報告による不安および抑うつの症状(β=−5.59、SE 1.45、P<0.001)、盲検下での評価者による機能の全体的評価(β=1.38、SE 0.64、P=0.03)、親の報告による機能の全体的評価(β=−1.43、SE 0.62、P=0.02)は有意差を示した。

費用対効果分析を行ったところ、ICBTはISUPPORTに比べ費用が節約されていた。これは主に、ICBT群において症状の軽減に伴い、薬剤費が減少したこと(z=2.38、P=0.02)、および学校へ問題なく出席できる日(授業料などを元に費用に換算)が多くなったこと(z=1.99、P=0.047)によるものである。

著者らは、「若年のSADに対しては、10週間のICBTは、ISUPPORTより効果的であり、かつ費用対効果も高いことが明らかになった。この治療法なら、学校や仕事を休んで治療に通う必要がない。また、SAD患者は、慣れない治療施設で見ず知らずの人に会うことに大きな負担を感じるものだが、このような従来の治療法が持つ妨げもなくなり、心理療法も、エビデンスに基づいたものを受ける機会が増えるだろう」と結論付けている。

なお、1人の著者が、医療系出版社との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2021年5月11日)

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参考文献
  1. Nordh M, et al. JAMA Psychiatry. Published online May 12, 2021. doi: 10.1001/jamapsychiatry.2021.0469
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