混合性の特徴を伴う大うつ病性障害の特定及び管理

大うつ病性障害(MDD)患者の5人に1人は3つ以上の軽躁症状を呈し、抗うつ薬の効果不十分、ノンアドヒアランス、物質使用障害(SUD)の併存、及びアウトカム不良といった臨床上の課題を有します。このため、「精神疾患の診断・統計マニュアル第5版(DSM-5)」では、別個の疾患単位としてMDDに混合性の特定用語が追加されました。混合性の特徴とSUD併存を伴うMDDの臨床像を示す症例のロールプレイシナリオとともに、その疾患管理が混合性の特徴を伴わないMDD患者の場合とどのように違うのかについて、精神医学会2019年学術集会(於 Psych Congress 2019;2019年10月3日~6日;San Diego, California)で多くの精神科医に向けて発表されました。

大うつ病性障害(MDD)患者の5人に1人には混合性の特徴(軽躁症状)が伴いますが、双極性障害の診断に至るほどの軽躁症状ではありません。しかし、この躁症状がMDDの症状を上回ることがある、と米国テキサス州Texas Tech Health Sciences CenterのRakesh Jain氏は述べました。このMDD患者集団には以下の特徴があります:

  • 診断及び治療が難しい
  • 軽躁症状を伴わないMDD患者に比べてアウトカムが不良である
  • 物質使用障害(SUD)が併存する場合が多い

DSM-5では、純粋な躁病から純粋なうつ病まで一連の連続体に沿って気分障害のスペクトラムを反映させるために、MDDの混合性の特定用語を導入した(詳細については、以下URLを参照: https://progress.im/en/content/diagnostic-and-therapeutic-implications-dsm-5-mixed-features-specifier)、とJain氏は加えました。これにより、患者の行動を管理するための治療の個別化をより適切に行うことができます。

混合性の特徴を伴うMDDの診断基準は、MDDの診断基準すべてに加えて、現在又は直近のうつ病エピソードの期間中の大半の日にわたって、指定された躁病の特徴が3つ以上存在することです2。その特徴は以下のとおりです:

  • 過度な気分の上昇(例えば、高揚又は過剰な興奮)
  • 自尊心の肥大、又は誇大
  • 普段より多弁であるか、しゃべり続けようとする心迫
  • 観念奔逸、又はいくつもの考えが競い合っているという主観的体験
  • 気力又は目標指向性の活動の増加
  • 困った結果につながる可能性が高い活動に熱中すること(制限のきかない買いあさりなど)
  • 睡眠欲求の減少

 

混合性の特徴を伴うMDDの診断における課題-臨床症例のロールプレイのシナリオ

臨床症例のロールプレイのシナリオを通して、混合性の特徴を伴うMDDを特定及び管理する際の課題を浮き彫りにしました。そのシナリオでは、University of Wisconsin-MadisonのCharles Raison氏が患者を、University of TN College of Medicine ArlingtonのW Clay Jackson氏がプライマリケア医を、Jain教授が精神科医を演じました。

患者は中年男性で、自分の「気まぐれ」により人間関係が破綻したことをきっかけに2ヶ月間で抑うつ状態が悪化し、新しいプライマリケア医を受診します。患者は過去30年間に4回著しいうつ病エピソードを経験したことを説明し、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)による治療を一度受けていましたが、性機能不全を理由に2週間で治療を中止しています。それ以外のエピソードは自然回復しています。

患者の合意のもと、セロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)による治療を行い、8週間後に治療の効果がみられるも、さらに10週間後に悪化します。

この時点で、患者はアルコール摂取障害に起因する早朝の不眠、不安及び振戦を伴う焦燥といったうつ症状の悪化を経験しています。アルコール解毒プログラムを受けた後、抗うつ薬を中止し、うつ症状は消失します。

15ヵ月後、いくつもの考えが競い合っている状態、不眠、衝動的な散財、注意散漫を伴う急速なうつ病エピソードが発現し、患者は再受診します。アルコール離脱症状と確定診断され、再びSSRIによる治療に合意しますが、気分の悪化と性機能不全を理由に、また1週間後に治療を中止します。

担当の精神科医はここで混合性の特定用語の特徴を伴うMDDと診断します。

 

混合性の特徴を伴うMDDの薬物療法の管理

パネルによれば、効果的な治療には、個別の患者の特性に応じて薬剤の併用が必要となる場合があります3,4。推奨される併用療法は以下のとおりです:

  • 非定型抗精神病薬と抗うつ薬5
  • 気分安定剤と抗うつ薬
  • 非定型抗精神病薬と気分安定剤

本セッションは、Otsuka America Pharmaceutical, Inc. 及びLundbeck社より教育的助成金の支援を受けています。

参考文献
  1. Akiskal H, Benazzi F. J Affect Disord. 2003;73:113–22.
  2. American Psychiatric Association. Diagnostic and statistical manual of mental disorders, Fifth edition. Arlington. VA:APA; 2013.
  3. Targum S, et al. Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry. 2016;68:9–14.
  4. McIntyre R, et al. J Affect Disord. 2015;172:259–64.
  5. Papakostas G, et al. J Clin Psychiatry. 2007;68:826–31.
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