機械学習のアルゴリズムが双極性障害発症の予測に有用か

機械学習のアルゴリズムを利用すると、18歳の時点でのデータによって、22歳の時点における双極性障害(BD)の発症を高い精度で予測できるという結果が、欧州神経精神薬理学会(ECNP 2020、2020年9月12~15日、オンライン形式)および、「European College of Neuropsychopharmacology」に2020年9月16日掲載された論文1で発表された。

Federal University of Rio Grande do Sul(ブラジル)のFrancisco Diego Rabelo-da-Ponteらは、ブラジル南端のペロタスの出生コホートである1993 Pelotas Birth Cohortからの資料に基づき、機械学習法を利用してBDを発症する可能性のある人を判別するモデルを構築した。1993年に出生した5,265人のうち、最終的に計3,778人を対象とした。出生時、11歳、15歳、18歳の来院時にBDのリスクとなり得る因子(両親の社会経済的地位、本人の虐待経験、喫煙など)を調査し、22歳の時点でDSM-IVの診断基準によってBDの診断を行った。得られたデータの20%をテストデータ、80%をトレーニングデータとした。後者に10分割交差検証を行った上、出生時、11歳、15歳、18歳の各データからElastic Netアルゴリズムにより22歳のBD発症を予測するモデルをそれぞれ構築し(計4種類)、これらのモデルの感度や特異度などを比較した。

対象者3,778例のうち、BD I型は107例(2.8%)、BD II型は26例(0.6%)、特定不能のBDは87例(2.3%)であった。18歳時点のデータを用いたモデルの予測の性能が最も高く、その曲線下面積(AUC)は0.82(95%信頼区間0.75~0.88, 10分割交差検証)、balanced accuracyは0.75、感度は0.72、特異度は0.77であった。発症予測に関わる因子の重みを検討したところ、自殺リスク、全般性不安障害、親による身体的虐待および経済的な問題が大きかった。次にこのモデルを用いて各対象者のBD発症リスクを計算し、全体を「高」から「低」の順に同数の5群に分けた上、最高群と最低群を比較したところ、最高群では抑うつ症状である無快楽症(アンヘドニア)の頻度が有意に高く(χ2(1)=4.95, P<0.01,)、一部の麻薬性薬物の使用頻度が高い傾向が認められた。

著者は、「このシステムを使えば、BD発症リスクの高い人が医師の診察を受けられるようになり、またBD発症の4年前にリスクを予測できることから、BD発症リスクのある若年者の人生は大きく改善される可能性がある」と述べている。(HealthDay News 2020年10月1日)

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参考文献
  1. Rabelo-da-Ponte FD, et al. Acta Psychiatrica Scandinavica. Published online September 16, 2020. doi: 10.1111/acps.13233
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