日本のCOVID-19パンデミック第1派受け入れ病院で不安や抑うつを抱える職員・医療従事者は約3割

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの第1派期(4月下旬~5月)に受け入れを行っていた日本の医療機関スタッフは、不安や抑うつなどの精神症状を伴う割合が高く、また、看護師という職種、および不安レベルの高さが抑うつのリスク因子であることが、日本赤十字社医療センターの粟野暢康氏らにより報告された。研究の詳細は、「Internal Medicine」59巻1号(2020年)1に掲載された。

粟野氏らは、COVID-19パンデミック下での医療従事者の不安、抑うつ、レジリエンス、その他の精神症状の程度および関連する因子を調査すべく、日本赤十字社医療センターの医療従事者を対象に、同センターのウェブサイト上で2020年4月22日~5月15日に匿名の調査を実施。調査では、職種、年齢、性別、COVID-19患者の治療に直接関わるか(フロントラインワーカー)否かを確認するとともに、日本語版のGAD-7(Generalized Anxiety Disorder-7)で不安を、CES-D(The Center for Epidemiologic Studies Depression Scale)で抑うつ症状を、CD-RISC 10(The 10-item Connor-Davidson Resilience Scale)でレジリエンスについて評価した。GAD-7は、過去2週間で7種の不安症状が現れた頻度を測るもので、0〜4点は「不安症状なし/最小限」、5〜9点は「軽度」、10〜14点は「中等度」、15〜21点は「重度」の不安症状ありとされる。CES-Dは20項目の質問から成り、総合点(0〜60点)で抑うつ症状の程度を評価する(16点以上が「抑うつ症状あり」)。CD-RISC 10は10項目の質問(0〜40点)でレジリエンスを評価するもので、高いほど「回復力」が高いとされる。この他、1)感染と死に対する不安と恐怖(10項目)、2)隔離と不当な扱い(5項目)、3)職場でのモチベーションと逃避行動(3項目)について、独自の質問を作成して加えた。

総勢1,964人の職員のうち43.2%に当たる848人が調査に参加し(医師104人、看護師461人、その他の医療スタッフ184人、事務職員99人)、その年齢中央値は37歳で、男性が213人、女性が635人だった。参加者のうちフロントラインワーカーは232人(医師39人、看護師151人、その他の医療スタッフ36人、事務職員6人)だった。

参加者全体のGAD-7総スコア中央値は4〔四分位範囲(IQR)1〜7〕で、85人(10%)が中等度〜重度の不安を有していた。カテゴリ変数にはχ2検定、2以上の群間の連続変数にはMann-Whitney U検定およびKruskal-Wallis検定を用い検討したところ、GAD-7スコア中央値は38歳未満の人に比べ、38歳以上の人で有意に高く(P=0.034)、フロントラインワーカー以外の人に比べてフロントラインワーカーで有意に高かった(P<0.001)。CES-D総スコア中央値は12(IQR 7〜16)で、237人(27.9%)が抑うつ症状を発症していた。CES-Dスコアは、38歳未満の人(P<0.001)、女性(P<0.001)、フロントラインワーカー(P=0.029)で有意に高かった。CD-RISC 10総スコア中央値は22(IQR 18〜27)で、職種、年齢、性別、フロントラインワーカーか否かのいずれにおいても有意差は認められなかった。

対象者をCES-Dスコアに基づき、正常群(16点未満、611人)と抑うつ群(16点以上、237人)に2分して、中央値で比較したところ、抑うつ群では正常群に比べ、GAD-7スコア(7点対3点)と独自に作成した3種の質問(不安と恐怖:16点対10点、隔離と不当な扱い:1点対0点、モチベーションと逃避行動:3点対2点)のスコアが有意に高く(いずれもP<0.001)、CD-RISC 10スコアは有意に低かった(18点対23点、P<0.001)。また、抑うつ群では、中等度から重度の不安を訴えた人が有意に多かった(26.2%対3.8%、P<0.001)。

多変量ロジスティック回帰分析により抑うつ症状のリスク因子を検討したところ、職種として看護師(医師を1.0として、オッズ比3.40、95%信頼区間1.39-8.30、P=0.007)、およびGAD-7総スコアが高いこと(同1.43、1.34-1.52、P<0.001)が、抑うつ症状が現れやすいことと関連していた。逆に、年齢が高いこと(同0.95、0.93-0.97、P<0.001)、およびCD-RISC 10総スコアが高いこと(同0.93、091-0.96、P<0.001)は、抑うつ症状が現れにくいことと関連していた。

著者らは、「COVID-19パンデミック中に医療従事者が不安や抑うつをはじめとする精神症状に苦しんでいる状況が明らかになった。これらの人々のメンタルヘルスを守るため、心理的なサポートや介入が必要だ」と結論付けている。(編集協力HealthDay)

参考文献
  1. Awano N, et al. Internal Medicine 2020;59(21):2693 -2699.
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