成人ICU生存者は退院後の自殺および自傷行為のリスクが高い



提供元:AJ Advisers LLCヘルスデージャパン

重症疾患により集中治療室(ICU)での治療を受けた患者では、退院後の自殺および自傷行為のリスクが高いことが、「The BMJ」に2021年5月5日に掲載された論文1で明らかにされた。

オタワ大学(カナダ)のShannon M. Fernandoらは、重症疾患のためICUで治療を受け、生存退院した者における自殺および自傷行為について検討すべく、カナダのオンタリオ州の9つの入院患者データベースを用いた後ろ向きコホート研究を実施。2009年1月1日から2017年12月31日までの期間にデータベースに登録された18歳以上の入院患者中、ICUで治療を受けた患者(以下、ICU生存者)423,060人(年齢61.7±16.5歳(平均±標準偏差)、女性39.1%)とICUでの治療なしに退院した患者(以下、非ICU生存者)3,081,111人(同53.5±20.9歳、女性64.5%)を対象として、退院後の自殺および自傷行為の発生率や関連要因を比較検討した。

退院後の自殺率は、非ICU生存者では0.1%(2,427人)、ICU生存者では0.2%(750人)、自傷行為発生率は、非ICU生存者では0.8%(24,411人)、ICU生存者では1.3%(5,662人)であった。研究期間での「自殺」、「自傷行為」、および「自殺または自傷行為」の10万人年あたり粗発生率は、非ICU生存者ではそれぞれ16.8〔95%信頼区間(CI)16.1-17.5〕、177.3(同175.1-179.5)、191.6(同189.3-193.9)であったのに対し、ICU生存者では41.4(同38.4-44.5)、327.9(同319.4-336.5)、361.0(同352.1-370.1)といずれも高かった。

Overlap weightを用いた傾向スコアを使用して解析したところ、非ICU生存者に比べたICU生存者の調整後ハザード比(HR)は、自殺が1.22(95%CI 1.11-1.33、E value1.74)、自傷行為が1.15(同1.12-1.19、1.57)、自殺または自傷行為が1.15(同1.12-1.19、1.57)のリスクが高かった。また、原因別Cox比例ハザード回帰モデルを用いた解析でICU生存者の自殺または自傷行為に関与すると思われる要因についてHRを計算したところ、うつ病または不安障害の既往歴が5.69(95%CI 5.38-6.02)、双極性障害の既往歴が2.38(同2.20-2.58)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の既往歴が1.87(同1.64-2.13)、統合失調症の既往歴が1.39(同1.28-1.52)、侵襲的機械換気が1.45(同1.38-1.54)、腎代替療法が1.35(同1.17-1.56)となり、これらの要因が有意な関連を有することが判明した。

著者らは、「この研究により、重症疾患を生き延びた者は、その後に自殺や自傷行為のリスクが高くなること、また、このことと関与する要因として、それ以前の精神疾患や侵襲的な生命維持の手段を使った治療などがあることが判明した。自殺や自傷行為を招きやすいこのような因子に関する知識があれば、公衆衛生上の大きな問題でもある自殺や自傷行為に対して先手を打って介入できることになり、その数の減少にもつながるのではないか」と述べている。

なお、複数の著者が製薬企業および医療機器メーカーとの利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2021年5月11日)

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参考文献
  1. Fernando SM, et al. The BMJ 2021 May 5;373:n973.
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