周産期女性ではCOVID-19パンデミック絡みの健康上の不安や悲嘆がメンタルヘルス悪化に関与

周産期の女性においては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関連して生じた健康上の不安や悲嘆、および妊娠前に精神的健康上の問題を抱えていたことが、抑うつ、全般性不安障害(GAD)や心的外傷後ストレス障害(PTSD)を招くリスク因子となり得る、とする、米国で実施された横断研究の結果が、「Psychiatry Research」に2020年11月4日掲載された1

「Perinatal Experiences and COVID-19 Effects Study(PEACE) 2020」は、米国内の周産期女性において、COVID-19パンデミックが、その精神面での健康や満足感・幸福感などにいかなる影響を与えているかを追跡しているオンライン調査である。米Brigham and Women's HospitalのCindy H. Liuらは、このデータを利用し、COVID-19パンデミックに起因する健康上の不安や悲嘆が、周産期の女性において、抑うつ、GAD、PTSDとどう関連するかを検討した。対象としたのは、2020年5月21日〜8月17日の間にPEACE 2020の調査に回答した、18歳以上で、妊娠第2三半期以降または産後6カ月以内の米国人女性1,123人である。

COVID-19パンデミックに関連して生じた健康上の不安については、「新型コロナウイルスへの感染についてどの程度心配していますか」などの4つの質問に対して、1(全く心配していない)〜5(極度に心配している)の5段階で回答させた。合計点16点以上を「高レベルの不安」、それ以外を「低レベルの不安」とした。COVID-19パンデミックの影響によって生じた悲嘆や喪失感(人生の大事なイベントができなかった、ソーシャルディスタンス対策のため親や友人からの支援が激減した、収入源などがなくなった、などの受け止め方)については、7つの質問に対して1(全く違う)〜5(全くその通り)の5段階で回答させた。合計点28点以上を「高レベルの悲嘆」、それ以外を「低レベルの悲嘆」とした。抑うつについては、CES-D(Center for Epidemiologic Studies-Depression measure、うつ病自己評価尺度)で、GADについてはGeneralized Anxiety Disorder Scale(GAD-7)、PTSDについてはPTSD CheckList – Civilian Version(PCL-C)により評価した。妊娠前にこれらの診断を受けていたか否かは自己回答によった。

対象者の平均年齢は33.10(標準偏差:3.77)歳で、54.2%は妊娠中、45.8%が産後であった。妊娠前にこれらの診断歴があったと回答した者の割合は、うつ病で17.5%、GADで24.5%、PTSDで4.1%であった。また、36.4%は過去1週間に臨床的に見てほぼ確実な抑うつ症状があったことを、22.7%は過去2週間にほぼ確実なGADの症状があったことを、10.3%は過去1カ月にほぼ確実なPTSDの症状があったと判断された。健康上の不安については、回答結果が「非常に不安を感じている」「極度に不安を感じている」に相当した者は18.2%で、悲嘆については、回答結果が「その通り」「全くその通り」に相当した者は8.8%であった。

ロジスティック回帰モデル解析の結果、妊娠前のうつ病の診断歴と、周産期におけるほぼ確実な抑うつ症状(CES-D≥16)との間に有意な関連が認められた〔ない場合を1としたオッズ比(OR)1.91、95%信頼区間(CI)1.30〜2.81、P<0.01〕。同様に、GAD診断歴と、ほぼ確実な、抑うつ、GAD(GAD-7≥10)、PTSD(PCL-C≥45)の症状との間にも有意な関連が認められた(抑うつ:OR 1.58、95%CI 1.12〜2.22、P<0.01、GAD:同2.74、1.88〜4.00、P<0.001、PTSD:同1.73、1.05〜2.85、P<0.05)。

同じ回帰モデルを用いて検討した結果、高レベルのCOVID-19に関連した健康上の不安は、ほぼ確実な、抑うつ、GAD、PTSDの症状と有意に関連していた(低レベルを1として、抑うつ:同3.41、2.42〜4.81、GAD:同4.23、2.99〜6.08、PTSD:同2.56、1.62〜4.06、いずれもP<0.001)。同様に、COVID-19に関連した高レベルの悲嘆も、ほぼ確実な、抑うつ、GAD、PTSDの症状と有意に関連していた(低レベルを1として、抑うつ:同4.82、2.91〜8.00、GAD:同4.75、2.95〜7.62、PTSD:同5.45、3.26〜9.10、いずれもP<0.001)。

著者らは、「周産期の女性では、妊娠前の診断歴がなくても、COVID-19に関連して生じた健康上の不安や悲嘆が、うつ病、全般性不安障害やPTSDを招くことがあり得る。そのため、不安や悲嘆が高まっている女性に対しては、これらが発症していないかを、スクリーニングを実施することなどにより確認すべきだ。こうした対策を講じることで、周産期の女性が抱える、精神面における苦しみを緩和できるのではないか」と述べている。(HealthDay News 2020年12月3日)

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参考文献
  1. Liu CH, et al. Psychiatry Research. Published online November 4, 2020. doi: 10.1016/j.psychres.2020.113552
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