双極性障害における認知機能障害の根底にあるものは何か?

双極性障害に関連する認知機能障害は、障害および生活の質の低下の重要な予測因子であり、治療すべき優先症状といえます。しかし、認知機能障害の表現型は不均一であり、双極性障害患者の最大60%には認知機能障害を認めません。認知機能障害を引き起こす神経生物学的メカニズムへの新しい見識が、ISBD 2020バーチャル会議(22nd Annual Conference of The International Society for Bipolar Disorder、2020年6月18~21日開催)で専門家の組織横断パネルにより提示されました。

認知機能障害は均一ではない—3つの神経認知サブグループ

認知機能の不均一性の多くは、双極性障害の臨床的亜型では説明できない

双極性障害(BD)では一般的に初回エピソードの直前まで典型的な認知機能の発達がみられ、その後は各エピソードで認知機能障害の発現が認められることがある1と、Brigham & Women’s Hospital, Harvard Medical SchoolのKatherine Burdick教授は述べています。しかし、認知機能障害の重症度は様々で、精神病のないBD患者の60%には認知機能障害がみられません2

この認知機能の不均一性のほとんどは、BDの臨床的亜型によって説明することはできませんが、精神病の病歴は認知機能障害の増加に関連すると同氏は付け加えました2

しかし、認知機能障害には以下の炎症性バイオマーカーが関連するとBurdick教授は言及しました。

  • C反応性タンパク質(CRP)(双極性障害患者のCRP高値群と正常値群のWisconsin Card Sorting Task (WCST)等を含む認知機能評価法を用いた認知能力比較;F(11, 254) = 3.7、 p < 0.0001、full factorial MANCOVA)3
  • 腫瘍壊死因子(TNF):これは、重度の気分障害エピソードの既往と実行機能の間の関係に部分的に介在すると思われる(BD群と健康な対照群との比較で認知能力に対する過去の重度の気分障害エピソード数の効果に可溶性TNF受容体1が介在するかを評価した構造方程式モデル[SEM]、χ²=49.2、p=0.3;’close fit’ [RMSEA = 0.02、PCLOSE = 0.9])4

Burdick教授らは3つの神経認知サブグループを同定しました。1つは正常なグループ、もう1つは部分的に障害されたグループ、そして統合失調症における障害に匹敵するすべての認知領域に重度の障害を有する全体的に障害されたグループです5

Burdick教授は、これらの結果と進行中の研究から、若年期での要因と疾病関連因子が認知機能の異なる転帰に寄与しており、これがBDにおける神経発達および神経進行の両方の役割を支持していると示唆しています。

背側前頭前野(DPFC)およびデフォルトモードネットワーク(DMN)における神経活動の異常

コペンハーゲン大学のKamilla Miskowiak教授は、気分障害患者を対象に、fMRI(機能的磁気共鳴画像法)による認知機能領域の脳活動を調査した研究100件、ならびに認知機能の改善についての神経基盤を調査した9件の研究についてシステマティックレビューを行いました。

いくつかの認知領域にわたる機能障害は、一貫して背側前頭前野(DPFC)の認知制御領域における神経活動の異常(低下または亢進)とデフォルトモードネットワーク(DMN)活動の不十分な抑制を伴っていました。これらの領域の神経活動は共通して認知機能の改善とともに変化しました6

小脳の接続障害の可能性も

小脳の機能的結合障害により情報処理速度が低下する

精神病性障害では、情報処理速度の低下などの認知機能障害に関連していると、Beth Israel Deaconess Medical Center and Harvard Medical SchoolのRoscoe Brady教授は述べています。

同教授は、マウス及びヒトにおける脳画像解析において、小脳の機能的結合障害は情報処理速度を低下させると述べています。なお、左頭頂葉-小脳間神経ネットワークは社会的認知および機能的転帰に影響すると考えられています7

Our correspondent’s highlights from the symposium are meant as a fair representation of the scientific content presented. The views and opinions expressed on this page do not necessarily reflect those of Lundbeck.

参考文献
  1. Reichenberg A, et al. Schizophr Bull 2009;35:1022–9.
  2. Bora E. J Affect Disord 2018;229:125–34.
  3. Millett CE, et al. Mol Psychiatry 2019. https://doi.org/10.1038/s41380-019-0591-1 (2020年7月30日確認)
  4. Millett CE, et al. Brain Behav Immun 2020;S0889-1591(20)30225-7.
  5. Burdick KE, et al. Psychol Med 2014;44:3083–96.
  6. Miskowiak KW, Petersen CS. CNS Spectr 2019;24:30–53.
  7. Stoodley CJ, et al. Nat Neurosci 2017;20:1744–51.
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