パーキンソン病患者の抑うつ状態が電話による認知行動療法でも改善

パーキンソン病(PD)患者のおよそ50%に抑うつ状態や不安などの精神症状がみられるとされているが1、これに対して電話による認知行動療法(T-CBT: Telephone-based Cognitive-Behavioral Treatment)が効果的であり、抑うつ、不安、生活の質(QOL)の全てにおいて、通常治療(TAU:Treatment As Usual)単独よりも優れた改善が得られたという研究結果を、米ラトガース大学ロバート・ウッド・ジョンソン・メディカルスクール精神神経学部のRoseanne D. Dobkin氏らが「Neurology」4月1日オンライン版2に発表した。

PD患者が抑うつ状態になると、身体機能および認知機能の落ち込みが速くなる3、ドパミン補充療法を早くから始めなければならなくなる4、薬をきちんと飲まない5、転倒しやすくなる6、医療サービスの利用7および医療費が増える8などのリスクが高まることが知られている。

Dobkinらは、2015年8月~2017年9月にかけて同大学や地元のPD支援グループなどから募集したPD患者(National Institute of Neurological Disorders and Stroke research criteria)でDSM-5の構造化面接によるうつ病性障害を満たす72例を対象に、抑うつ状態に対するT-CBT介入の有効性について、TAU単独群とのランダム化比較試験を実施。TAUは、神経科医、精神科医、セラピストなどによる通常治療および精神医学的治療とし、対象者をT-CBT+TAUを受ける群(37例)と、TAUのみを受ける群(35例)にランダムに割り付けた。

T-CBTの内容をPD患者個々のニーズに合わせて調整した上で、3カ月の間、1時間のセッションを計10回実施。その後の6カ月間に及ぶ追跡期間中は、必要に応じてT-CBTを実施した(最大16回)。T-CBTの治療目的は、ネガティブな思考(例えば、PDの自己管理について「思うようにいかない」「自分はもうどうしようもない」)、およびネガティブ行動(例えば、引きこもりや過度の心配)であった。さらに、PD患者が健康的な習慣を実践できるように、介護者への訓練も実施された。ベースライン時、治療途中、治療終了時、治療1カ月後、6カ月後に盲検下の評価者によるアウトカム評価が行われ、ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)を主要評価項目、抑うつの重篤さ、不安、生活の質(QOL)を副次評価項目とした。解析は線形混合効果モデルを用いたITT(intention to treat)解析とした。

その結果、T-CBTは総じてTAUよりも良好な評価結果が得られた。主要評価項目であるHAM-Dは、ベースラインから6カ月の追跡終了後までに至る全ての時点において、TAU群に比べT-CBT群で有意な改善が認められた(F4,249=14.89、P<0.0001)。治療終了時のHAM-D平均値は、T-CBT群で14.44(95%信頼区間12.97~15.93)、TAU群で21.33(同19.76~22.89)であり、ベースラインからの平均変化量は、T-CBT群で6.53点(同5.07~7.99)、TAU群で−0.27点(同-1.81~1.27、Cohen d=1.69)であった(P<0.0001)。この効果は持続し、6カ月の追跡終了後の時点でも、HAM-D平均値は、T-CBT群で15.37(同13.87~16.86)、TAU群で20.53(同18.96~22.09)であり、ベースラインからの平均変化量は、T-CBT群で5.60(同4.12~7.07)、TAU群で0.53(同-1.01~2.07)であった(P<0.0001)。

Dobkinらは、「今回の研究で得られた結果から、まだ予備的な段階ではあるが、PD患者の抑うつ状態に対するエビデンスベースの治療に遠隔医療を仲間入りさせる可能性が見えてきた。患者が専門医療施設の近くに住む必要や、遠くの施設に通う必要もなくなるだろうし、PD患者の自己管理に大きな利益をもたらすと思われる」と述べている。(HealthDay News 2020年4月1日)

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参考文献
  1. Weintraub D, et al., Am J Geriatr Psychiatry 2019;27:998–1018.
  2. Dobkin RD, et al. PLOS ONE. Published online April 1 , 2020.
    doi: 10.1212/WNL.0000000000009292(2020年5月12日閲覧)
  3. Starkstein SE, et al. J Neurol Neurosurg Psychiatry 1992;55:377–382. 3.
  4. Ravina B, et al. Neurology 2007;69:342–347.
  5. Straka I, et al. Medicine 2018;97:e10962.
  6. BalashY, et al. J Neurol 2005;252:1310–1315.
  7. Qureshi SU, et al. J Geriatr Psychiatry Neurol 2012;25:233–239.
  8. McCrone P, et al. Mov Disord 2007;22:804–812.
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