パンデミックで精神的健康を損なう医療従事者は少なくない



提供元:AJ Advisers LLCヘルスデージャパン

パンデミック発生から比較的短い期間において、精神的健康を損なう医療従事者が少なくないことが、「European Journal of Psychotraumatology」2020年10月15日オンライン版に掲載された論文1で明らかにされた。

英イースト・アングリア大学のSophie M. Allanらは、パンデミックによる患者を受け入れている医療機関の医療従事者を対象に、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、うつ病、不安などの有病率を評価するために、システマティックレビューを行った。「SARS」、「MERS」、「Coronavirus」、「Ebola」、「pandemic」と急性期病院、メンタルヘルスおよび医師・看護師などの医療従事者を検索語として検索式を作成し、2020年3月30日までに発表された論文を検索した。パンデミックの期間を、急性期(パンデミック発生時およびパンデミック発生から1.5カ月以内)、パンデミック発生から1.5〜5.9カ月後、6~11.9カ月後、および12カ月後以降の4つの期間に分けて、ランダム効果メタアナリシスにより結果を統合した。

その結果、システマティックレビューの基準(PRISMA)を満たしていた論文は19件で、その中で最も多く研究されていたのは、アジア地域における重症急性呼吸器症候群(SARS)によるパンデミックの急性期であった。今回の研究で主な評価指標としたのは、臨床的に意味のある症状を呈する「PTSDの症状」および「一般的な精神症状」で、例えばGeneral Health Questionnaire(GHQ)などの質問票による調査結果がカットオフ値を超えている場合を「臨床的に意味のある症状」とした。「PTSD」の推定有病率を急性期および12カ月後以降でそれぞれ統合したところ、23.4%〔95%信頼区間(CI)16.3-31.2、N=4,147、I2=96.2%〕および11.9%(同8.4-15.8、N=1,136、I2=74.3%)となった。同様に「一般的な精神症状の有病率」も、急性期、6~11.9カ月後および12カ月後以降で、それぞれ34.1%(同18.7-51.4、N=3,971、I2=99.1%)、17.9%(同13.1-23.2、N=223、I2=0.0%)、および29.3%(同6.0-61.0、N=710、I2=97.8%)となり、いずれも急性期で最も高かった。なお、医師と看護師との間では、急性期における「PTSD」および「一般的な精神症状」の有病率に有意差は認められなかった。

著者は、「パンデミック発生直後から精神的健康を損なってしまう医療従事者は珍しくない。しかし、その時期を過ぎた後に、どのような状態になるかはほとんど判明していない。新型コロナウイルス感染症によるパンデミックが絡む医療従事者のメンタルヘルスを長期的に評価する研究をさらに行う必要がある」と述べている。(HealthDay News 2020年10月19日)

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参考文献
  1. Allan SM, et al. European Journal of Psychotraumatology. Published online October 16, 2020. doi: 10.1080/20008198.2020.1810903
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